◎首都チュニスの通りに集まった数百人は、7月に権力を掌握したカイス・サイード大統領に辞任を求めた。
12月17日、チュニジアの首都チュニスで大統領支持派と反対派が2010年12月のジャスミン革命を記念する抗議デモを開催した。
チュニスの通りに集まった数百人は、7月に権力を掌握したカイス・サイード大統領に辞任を求めた。
一方、大統領支持派は別の通りで小規模な集会を開催し、反対派に抗議した。
サイード大統領は7月、政府のコロナウイルス対策と経済政策の失敗を非難し、当時のヒシェム・メチチ首相を解任したうえで議会を停止した。
メチチ政権の政策に反対する人々はサイード大統領を称賛したが、与党ナフダ党を含む多くの議員が大統領の強硬措置をクーデターと呼び、厳しく非難した。
議会停止から2か月後、サイード大統領は憲法を部分的に無効にし、自分の権限を強化したうえで、ナジュラ・ブーデン氏を暫定首相(チュニジア初の女性首相)に指名した。サイード大統領は女性を首相に選ぶことで反対派をなだめようとしたが、怒りは収まらなかった。
反対派の抗議に参加した女性は地元メディアに、「チュニジア人は苦労して勝ち取った民主主義を守らなければならない」と訴えた。「ブアジジが受けた屈辱を覚えていますか?独裁者はいりません。サイードは去りなさい!」
サイード大統領は今週、2022年12月まで議会の停止を延長し、7月25日に政治改革に関する国民投票を行うと発表した。
ナフダ党の党首で元議会議長のラーシド・ガンヌーシー氏はサイード大統領の決定を「違憲」と非難した。「チュニジアは国際社会から完全に孤立しています。これ以上危機を悪化させないでください...」
国の主要な労働組合UGTTの事務局長も、サイード大統領の決定は進行中の問題をさらに悪化させると指摘した。コロナウイルスの影響で国の経済はひどく疲弊しており、失業率は20%近くに達したと推定されている。
しかし、旧政権の反対派はサイード大統領を圧倒的に支持し、議会を「無能」と非難した。
サイード大統領は今週の声明の中で、国の革命記念日を1月14日から12月17日に変更すると発表した。
12月17日はチュニスで露店を営んでいたモハメド・ブアジジ氏が政府庁舎前の通りで焼身自殺を図った日である。
ブアジジ氏は役人に賄賂を支払うことができず、露店で使っていた秤を没収され、役人から暴行を受けたと伝えられている。ブアジジ氏の行動は小規模な抗議デモからジャスミン革命に発展し、アラブ社会全体に広がった。
チュニジアの経済はジャスミン革命で権威主義者を打倒した後も低迷し続け、コロナの感染拡大で危機はさらに悪化し、国民の大半が今も厳しい生活を余儀なくされている。