◎サイード大統領の主要なライバル候補は刑務所に収監されているか、出馬を禁じられている。
アフリカ北部・チュニジアの選挙管理委員会が6日に行われた大統領選の結果を公表し、サイード(Kais Saied)大統領の勝利を認定した。
選管は7日午後に最終結果を公表。サイード氏の得票率は90.7%に達し、他の2候補を圧倒した。
それによると、投票率は28.8%。前回選挙を大幅に下回ったものの、最近行われた議会選は上回った。
先月禁固20カ月の実刑判決を受けたザメル(Ayachi Zammel)候補の得票率は7.4%であった。
現地メディアによると、サイード氏の支持者が首都チュニスの通りに繰り出し、踊りを踊ったり、花火を打ち上げているという。
選管は先月、野党候補17人のうち2人の立候補を許可。しかし、そのうちの1人であるザメル氏はその直後に逮捕・起訴され、先月実刑判決を受けた。
サイード氏の主要なライバル候補は刑務所に収監されているか、出馬を禁じられている。
サイード氏は5年前、アラブの春につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に「解体」され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
ほぼすべての野党が投票をボイコットしており、立候補を許可された2候補も支持していない。
最大野党アンナハダは7日、この選挙を「詐欺」と呼び、支持者に抗議デモを継続するよう求めた。
サイード氏は66歳。反対派への弾圧と行政権に対するチェック・アンド・バランスを取り除き、多くの人権団体から非難されてきた。
しかし、大統領就任後も質素な暮らしを続け、利権に興味を示さないサイード氏を支持する人も多い。
サイード氏は野党議員を「金の亡者」「腐りきったエリート層」などと呼んでいる。