◎大統領選は10月6日に予定されている。現職のサイード氏の再選は揺るぎそうにない。
アフリカ北部・チュニジアの捜査当局が来月の大統領選に先立ち、野党政治家や活動家の取り締まりを強化し、わずか数日間で少なくとも108人を逮捕した。現地メディアが13日に報じた。
それによると、主要野党アンナハダの幹部や党員を含む少なくとも80人が今週逮捕され、全体の逮捕者は確認できているだけで108人にのぼるという。
アンナハダは13日の声明で、「同党の男女少なくとも80人が逮捕され、首都チュニスの拘置所などに勾留されているようだ」と述べた。
またアンナハダは今回の摘発を「政府与党による弾圧キャンペーン」と呼び、サイード(Kais Saied)大統領を厳しく非難した。
逮捕者の中には党の幹部も含まれており、捜査当局による家宅捜索は13日午後まで続いた。
選挙管理委員会は先週、大統領選への出馬を表明した野党候補17人のうち2人の立候補を許可。そのうちの1人であるザメル(Ayachi Zammel)氏は立候補を許可された直後に身柄を拘束された。
大統領選は10月6日に予定されている。現職のサイード氏の再選は揺るぎそうにない。
サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
サイード氏はこの数カ月で閣僚の大半を刷新。野党が解散総選挙を求めると、捜査当局による取り締まりが激化し、多くの反対派が拘束された。
最高裁判所は先月末、選管が出馬を禁じた3候補の立候補を許可するよう命じたが、選管はこの3候補が必要書類を提出していないと主張。提出期限を守らなかったため、出馬は認められないとした。
選挙運動は15日から正式に始まる。