◎選挙管理委員会は来月予定されている大統領選への立候補を目指していた主要野党候補3人の出馬を認めなかった。
アフリカ北部・チュニジアの国会は27日、選挙管理委員会の決定に異議を唱えた裁判所の命令を無効にする法案を可決した。
選挙管理委員会は来月予定されている大統領選への立候補を目指していた主要野党候補3人の出馬を認めなかった。
首都チュニスの裁判所は野党の訴えを認め、選管に3人の立候補を許可するよう命じていた。
選管は今月初め、野党候補17人のうち2人の立候補を許可。しかし、そのうちの1人であるザメル(Ayachi Zammel)氏はその直後に逮捕・起訴され、先週、禁固20カ月の実刑判決を受けた。
国会は27日、選管の決定に異議を唱えることを禁じる選挙改正法案を賛成多数で可決した。
サイード(Kais Saied)大統領は同日、国会を称賛し、「誰であろうと、選管の決定に異議を唱えることはできない」と主張した。
野党と市民団体はこの法案に激怒し、チュニスで抗議デモを続けている。
デモ隊は27日朝から国会前に集まり、サイード氏を非難した。
大統領選は10月6日に予定されている。地元メディアが最近行った世論調査によると、サイード氏の支持率は野党2候補を大きく引き離している。
サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に「解体」され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
議会閉鎖以来、サイード氏を敵視する野党政治家や活動家が相次いで逮捕される事態となっている。