◎今回の選挙は数カ月にわたる政治的行き詰まりの果てに実施された。
チュニジアの選挙管理委員会は18日、前日に行われた議会選の投票率が過去最低を大幅に更新する8.8%にとどまったと発表した。
選挙をボイコットした野党連合はサイード(Kais Saied)大統領に引退を勧告した。
サイード氏は昨年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は今年3月に解体された。
選挙管理委員会の委員長は記者団に対し、「有権者の買収や違反行為は確認されておらず、公正な選挙が行われた」と語った。
また委員長は「以前の選挙では買収や脅迫が当たり前のように行われていたが、汚職議員を追放したことで公正な選挙を行うことができた」と主張した。「汚職議員を追放した結果、金がばらまかれなくなり、民主的で公正な選挙を行うことができたのです!」
しかし、野党連合は選挙を「偽物」と呼び、サイード氏に改めて辞任を求めた。
また野党連合はサイード氏に対し、すべての政治勢力を集めて協議するよう促した。
主要野党のイスラム政党「アンナハダ(Ennahda)」は声明で、「投票率8.8%など聞いたことがない」と断じた。「選挙管理委員会は8.8%と報告しました。8.8%です。これが民主的で公正な選挙ですか?国を支配している者たちは今すぐ退去しなさい!」
今回の選挙は数カ月にわたる政治的行き詰まりの果てに実施された。結果は19日に公表される予定だ。
定数161議席はサイード氏の勢力で構成されることになる。
選挙運動は3週間にわたって行われたが、地元メディアによると、サイード氏の勢力はほとんど遊説せず、SNSで投票を呼び掛けていたという。
野党連合は9月に議会選ボイコットを表明し、「選挙管理委員会はサイード氏の支配下に置かれている」と指摘していた。
しかし、有権者の大半は汚職を撲滅し、不正を取り締まると約束したサイード氏の統治を支持しているように見える。同国の経済は2011年のジャスミン革命で民主主義を確立して以来、停滞している。