◎首都チュニスでは政治家の汚職にウンザリしていた有権者が憲法改正を祝った。
チュニジアの選挙管理委員会は27日、憲法改正の是非を問う国民投票の投票率は30.5%で、96.4%が賛成に投じたと発表した。
これにより、物議を醸す新憲法は施行される見通しとなった。
野党はサイード(Kais Saied)大統領の支配下に置かれている選挙管理委員会を「不正委員会」と非難し、投票率の低さに言及した。「国民投票は失敗に終わりました...」
野党と活動家はボイコットを呼びかけていたが、賛成に投じる有権者は予想よりはるかに多かった。
サイード氏は昨年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を独占した。
野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は今年3月に解体された。議会選は12月に行われる予定だ。
現憲法は労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)を含む全国の活動家団体と政府の協議を経て、2014年に成立した。これは「アラブの春」の引き金となった2011年のジャスミン革命で追放された独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)の23年間の専制政治を正す内容になっている。
6月末に公表された憲法草案は、首相の権限を縮小し、大統領により大きな行政権を与え、一院制から二院制に変更するなどとしている。また大統領は議会の承認を得ずに内閣を任命できるようになる。
一部の有権者は民主主義を確立してから11年たった今も貧困、インフレ、汚職、失業率がほとんど改善しないことにウンザリし、議会を批判していた。チュニジアのGDPはこの10年、ほとんど成長していない。
首都チュニスでは政治家の汚職にウンザリしていた有権者が憲法改正を祝った。
米国務省は26日、新憲法は基本的人権と自由を弱体化させる可能性があると懸念を表明した。