◎チュニジアではここ数週間、米、セモリナ、砂糖、小麦粉などが急速に不足し、価格の高騰に歯止めがかからない状態に陥っている。
チュニジアのカイス・サイード大統領は9日、国内の小麦、米、セモリナ、砂糖などの不足が急速に進んでいることを受け、利益目的でこれらの食品に投資する個人や企業に宣戦布告した。
ロシア・ウクライナ戦争は世界の小麦・大麦貿易に深刻な影響を与えると懸念されており、チュニジアを含む一部の開発途上国は影響を受け始めている。
サイード大統領は声明の中で、「社会の平和と安全を脅かす投資家を非難し、犯罪者に対する戦争を開始する」と述べた。
サイード大統領は昨年7月、政府のコロナウイルス対策と経済政策の失敗を非難し、当時のメチチ首相を解任したうえで議会を閉鎖した。
議会閉鎖から2か月後、サイード大統領は憲法を部分的に無効にし、自分の権限を強化したうえで、ブーデン氏を暫定首相(チュニジア初の女性首相)に指名した。
野党はサイード大統領を独裁者と呼び非難しているが、多くの市民が汚職の撲滅を約束し、利権に興味を示さないリベラルなサイード大統領の政策を支持している。
サイード大統領は以前、食品への投資で不正に利益を上げた個人や企業に実刑判決を科す法律を導入すると示唆し、投資家に圧力をかけていた。
地元メディアによると、チュニジアではここ数週間、米、セモリナ、砂糖、小麦粉などが急速に不足し、価格の高騰に歯止めがかからない状態だという。当局はこれらの食品を大量に保管している個人や企業を厳しく取り締まっている。
チュニジアは小麦の約半分をウクライナから輸入しており、その他の食品も輸入に依存しているため、ウクライナ危機は国の脆弱な食料供給を脅かし、飢餓に発展する可能性もあると懸念されている。
政府は先月、危機的状況にある経済を立て直す一環として、国際通貨基金(IMF)に数十億ドル規模の融資を求め、協議を開始した。
IMFはチュニジアの財政赤字と公共部門の支出が多いことに懸念を示しており、改革と公共支出の削減を要求している。