◎サイード大統領は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
北アフリカ・チュニジアで大統領選が近づく中、当局がサイード(Kais Saied)大統領に異議を唱えようとする候補者を取り締まっている。
首都チュニスの裁判所は14日、大統領選に立候補した候補の1人に箝口令を出し、行動を制限した。
サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
野党はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難、各地で小規模な抗議デモを続けている。
その後、議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は8.8%にとどまった。
大統領選は10月6日に予定されている。最新の世論調査によると、サイード氏が出馬した場合、再選する可能性が高い。サイード氏はまだ出馬を表明していない。
一方、野党アンナハダの候補の1人は14年に著名な医師を殺害した疑いで捜査を受けている。
この候補は12日、「サイード氏が大統領選で票を集めると予想されている有力候補を妨害するために、突然この時期に殺人容疑をかけてきた」と非難した。
同じような容疑をかけられている野党候補は数人確認されており、いずれも容疑を否認している。
野党候補が直面している困難は、10年前にチュニジア全土で感じられた民主化への希望とはかけ離れたものだ。
チュニジアは11年のジャスミン革命で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放。民主的な選挙を実施し、14年に憲法を改正した。