◎政府の政策に腹を立てた数千人の抗議者たちは7月25日、首都チュニスの通りで警察当局と激しく衝突した。
2021年7月25日/チュニジア、首都チュニス、政府のコロナ対応に抗議するデモ(Hassene Dridi/AP通信)

チュニジアの現地メディアによると、カイス・サイード大統領は政府のコロナ対応と経済の低迷に抗議する暴動を厳しく非難し、首相を解任したうえで議会を停止したという。

政府の政策に腹を立てた数千人の抗議者たちは7月25日、首都チュニスの通りで警察当局と激しく衝突した。抗議者たちはヒシェム・メチチ首相と与党を非難し、「出ていけ!」と叫び、「議会を解散しろ!」と訴えた。

サイード大統領は緊急安全保障会議後のテレビ演説で、「新首相と共にチュニジアの平和を取り戻す」と国民に呼びかけた。「私たちは決定を下しました。政府はチュニジアの平和を取り戻すために行動します...」

しかし、与党ナフダ党を含む議員たちはサイード大統領の措置をクーデターと呼び、厳しく非難した。現地メディアによると、抗議者たちは25日夜にメチチ首相が解任されたことを知り、通りで祝賀会を開催したという。

警察当局は2010年のジャスミン革命(アラブの春)の舞台になったブルギバ通りと議会議事堂周辺を封鎖し、抗議に備えた。

警察は抗議者の列に催涙ガス弾を発射し、数人を逮捕した。他の都市でも衝突が発生したと伝えられている。

一部の暴徒化した抗議者たちはナフダ党の本部事務所などを襲撃し、パソコンを含む電子機器を破壊したうえで火を放った。

ナフダ党は声明で、「犯罪組織は混乱と破壊をまき散らした」と非難した。

サイード大統領はさらなる暴動が発生した場合、軍事力で対応すると約束した。「警察官に銃を向ける暴徒、武器に頼ろうとする暴徒は、軍隊の弾丸に直面するだろう」

またサイード大統領は、国家が「差し迫った危機」に直面した場合、憲法は議会を一時的に停止することを許可していると述べ、今回の措置を擁護した。

しかし、議会議長を務めるナフダ党のラーシド・ガンヌーシー議員はロイター通信の取材に対し、「大統領は2010年の革命と新憲法に対するクーデターを起こしている」と非難した。「私たちは、議会はまだ機能していると考えています。ナフダ党とチュニジアの国民は革命を擁護し、大統領のクーデターを非難するでしょう」

2010年12月に発生したジャスミン革命はチュニジアを含む近隣諸国に民主主義をもたらすアラブの春に発展した。しかし、権威主義を打倒した抗議者たちは厳しい現実に直面し、困惑している。

チュニジア政府は深刻な経済危機とアフリカ大陸で最悪のコロナウイルス感染拡大に対処してきたが、国民の不満を抑えることはできなかった。

チュニジアの感染状況はここ数週間で急速に悪化し、革命以来停滞を続ける経済に大きな圧力をかけた。メチチ首相は先週、保健相を解任し、国民の不満を和らげようとしていた。

2021年7月25日/チュニジア、首都チュニス、政府のコロナ対応に抗議するデモ、警察当局と抗議者たち(Hassene Dridi/AP通信)

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