◎ナジュラ・ブーデン首相は新大臣の宣誓式の中で、政府の最優先事項は汚職との戦いと述べた。
10月11日、チュニジアで2カ月以上続いた政治空白に終止符を打つ新政権が発足した。
ナジュラ・ブーデン首相は新政権の閣僚を発表し、7月のヒシェム・メチチ前首相の解任と議会の停止が招いた混乱を終息させると誓った。チュニジアで女性が首相を務めるのは初めて。
憲法の専門家と一部の批評家はカイス・サイード大統領の首相解任と議会停止、そして大統領に権力を一時的に集中させる措置をクーデターと呼んだ。
ブーデン首相は新大臣の宣誓式の中で、政府の最優先事項は汚職との戦いと述べた。
地元メディアによると、ブーデン首相は女性9人を閣僚入りさせたという。新政権の構成は大臣24人と国務長官1人。財務相のシヘム・バウディリ・ネムセヤ氏は再任。
サイード大統領は7月中に新政権を発足させると約束していたが、9月22日に憲法を部分的に停止し、権力を自分に集中させた。
サイード大統領は、チュニジアはコロナウイルスの感染拡大で危機に陥っていると述べ、大統領に権力を集める措置は一時的なものと約束していた。
しかし、サイード大統領は10月11日の演説で、「危機が続く限り、措置を維持する」と述べた。
2010年12月にチュニジアで発生したジャスミン革命はアラブの春に発展し、近隣諸国に民主主義をもたらした。しかし、権威主義を打倒した人々は深刻な経済危機とコロナの感染拡大に悩まされ、厳しい生活を余儀なくされている。
サイード大統領の措置は政府の高官を汚職犯と呼ぶ市民から広く支持されている。しかし、措置に反対する人々は権力の集中は独裁を促し、新たな混乱を引き起こすと懸念している。
ここ数週間、首都チュニスを含む主要都市では、サイード大統領の支持派と反対派が数千人規模のデモを行っている。10月10日のデモに参加した女性は地元メディアの取材に対し、「独裁体制に戻ってほしくない」と述べた。
腐敗防止政策を公約の柱に掲げるサイード大統領は2019年10月の選挙で初当選を果たした。