トランプ氏「コンゴ東部紛争を終結させた」と主張、各地で激戦続く中
トランプ氏は25日、ワシントンDCの記者団に対し、数十年に及ぶ戦争を終結させたと改めて主張した。
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トランプ(Donald Trump)米大統領はアフリカ中央部・コンゴ民主共和国東部の紛争を終結させたと主張しているが、地元の人権団体はこの数週間で数百人が殺害され、数万人が避難を余儀なくされ、各地で激戦が続いていると報告している。
トランプ氏は25日、ワシントンDCの記者団に対し、数十年に及ぶ戦争を終結させたと改めて主張。コンゴを「暗黒の地域」と表現した。「35年間、残忍な戦争だった。900万人がマチェーテで殺害された。私がそれを止めた。私が止めさせ、多くの命を救ったのです...」
トランプ政権はこの紛争を終わらせ、この地域の希少な鉱物資源(タンタル、金、コバルト、銅、リチウムなど)に関する協定を結び、欧米諸国の投資を呼び込みたいと考えている。
コンゴ政府は東部紛争への対応に苦慮しており、鉱物資源と引き換えに、米国に安全保障を提供するよう求めてきた。
コンゴとルワンダは6月末、トランプ米政権の仲介で和平協定に調印した。
ルワンダ軍はこの協定に基づき、90日以内にコンゴ東部から撤退する必要がある。
コンゴ政府とルワンダの支援を受けるコンゴ最大の反政府勢力M23(3月23日運動)は7月19日、カタール・ドーハで数十年に渡る紛争を終結させるための原則宣言に署名した。
この宣言には恒久的な停戦と和平協定締結に向けたコミットメントが盛り込まれている。
和平協定は8月18日までに締結される予定であったが、折り合いがつかず、締結には至っていない。合意の条件には「民間人の保護」と、紛争で避難を余儀なくされた市民数百万人の安全な帰還が含まれている。
地元住民は北キブ州と南キブ州の複数の地域でコンゴ軍、M23、ルワンダ軍、その他民兵や過激派による戦闘が続いていると報告している。
現地メディアによると、M23とコンゴ軍と共闘する民兵との戦闘が特に激しく、多くの民間人が巻き込まれているという。
カタールが仲介したコンゴとM23の最終和平合意は停滞しているようだ。双方は互いに和平条件違反を非難し合っている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は先週、M23が少なくとも141人の市民を処刑したと明らかにした。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動。そのほとんどが土地や貴重な鉱物などを守るために戦っている。
専門家はこれらの過激派がM23とコンゴ軍の戦闘に乗じて支配地域を拡大していると指摘している。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に東部の最大都市である北キブ州ゴマを占領。その後、東部第2の都市・南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
それ以来、アフリカ諸国に加え、カタールと米国が和平に向けた協議を仲介してきた。
コンゴはルワンダ政府がM23を支援していると非難している。国連によると、ルワンダ軍の兵士約4000人がコンゴ東部に駐留し、M23を支援しているという。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は今月初め、M23が過去1カ月間で少なくとも319人の民間人を虐殺したと明らかにした。