◎ティグライ州では大量虐殺、処刑、拷問、レイプが横行している。
エチオピア、北部ティグライ州の難民キャンプ(UNHCR)

エチオピア政府は29日、北部ティグライ州のインターネット通信が回復する見通しは立っておらず、復旧に向けたタイムラインも提供しないと発表した。

政府のモラ(Belete Molla)技術革新相は首都アディスアベバで開催された国連のインターネットガバナンスフォーラムで講演した。

モラ氏は講演の中で、「政府はティグライ州のインターネットだけでなく、あらゆるインフラの回復を目指しているが、タイムラインを提示することはできない」と述べた。

エチオピア軍とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の紛争は2020年11月に本格化し、民間人数万~数十万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。

それ以来、同州のインターネット、電話、銀行など、インフラの大半が機能していない。

政府とTPLFの代表は今月初めに停戦協定を結び、人道支援輸送やこの地域の武装解除について協議する委員会を設立することなどにも合意した。

国連などの人道機関が主導する支援物資の輸送はようやく動き始めたが、世界食糧計画(WFP)は先週、同州の一部地域への立ち入り許可が下りないと報告した。

国連はエチオピア政府にさらなる行動を求めるために、インターネットに関するフォーラムを同国で開催することとした。今年のフォーラムは人口13億人の60%がオフラインと推定されているアフリカ大陸のインターネット環境の改善を目的としている。

各国のインターネット通信を監視している民間団体「アクセス・ナウ」によると、エチオピア政府は2016年以降、少なくとも22回、インターネット通信を遮断しているという。

活動家や人権団体は通信の遮断が支援を遅らせ、人権侵害に拍車をかけていると指摘している。

国連の調査団によると、この地域では大量虐殺、処刑、拷問、レイプが横行しているという。

ファーラムの開会式で演説したアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相はティグライ州のインターネット遮断を擁護した。「テロリストはインターネットで偽情報を流し、国民を惑わせ、国家転覆を企てました...」

政府はティグライ州への外国メディアの立ち入りを禁じている。

2021年1月20日/スーダンの難民キャンプに避難したティグライ州の住民(Getty Images)
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