◎アビィ・アハメド首相はティグライ紛争の最前線で兵士を指揮していると主張した。
11月26日、エチオピアのアビィ・アハメド首相はティグライ紛争の最前線で兵士を指揮していると主張した。
アビィ首相は軍服姿で国営放送局の取材に応じ、「国軍は高いレベルの成功を収めている」と述べ、北部ティグライ州、アムハラ州、アファール州の国境に迫っていると示唆した。
国軍と北部ティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘は1年前に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。
国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFはオロモ解放戦線などの主要な反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃で地域の支配権を取り戻した。
TDFはティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の大半を支配下に置き、さらに首都アディスアベバ近郊の都市を占領したと伝えられている。また、野党グループと反政府勢力は11月5日に米ワシントンD.C.でアビィ首相の追放を目指す統一戦線の結成に合意した。
各国政府は首都決戦が現実味を帯びたことを受け、自国の市民にエチオピアから離れるよう強く促している。外国のメディアは北部地域への立ち入りを禁じられており、戦地の状況はほとんど明らかにされていない。
政府は25日遅く、ティグライ紛争のメディア報道を制限する命令を発効し、軍事関連の動きおよび、戦場の状況に関する情報の共有を禁止した。対象地域は全国。
また政府は声明の中で、「言論の自由の名の下に、テロリスト(TPLF)を直接的または間接的に支援する報道は直ちに中止しなければならない」と警告した。統一戦線の指導者とその支持者たちは、アビィ政権の解散と暫定政府の設置を求めている。
政府は命令に違反した者は処罰されると述べたが、詳細は明らかにしなかった。
アビィ首相は隣国エリトリアとの数十年におよぶ紛争を終結させ、歴史的な和平協定を結んだことが高く評価され、2019年にノーベル平和賞を受賞した。エリトリア軍はティグライ地域の虐殺に関与したと非難されているが、アビィ首相はエリトリアの関与を否定している。
TPLFとエリトリアは犬猿の仲であり、1990年代後半の国境紛争でも激しく衝突した。