◎ジョー・バイデン大統領とケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は10月14日に会談する予定。ティグライ紛争の解決に向けた取り組みが主要議題のひとつになる。
10月12日、ホワイトハウスは14日にケニアのウフル・ケニヤッタ大統領を招き、ジョー・バイデン大統領との対面の首脳会談を開催すると明らかにした。
バイデン大統領とアフリカの首脳による対面の会談は初。
バイデン大統領は先月、ケニアの隣国エチオピアで進行中のティグライ紛争に懸念を表明し、紛争の終結に向けた措置が講じられない場合、エチオピアのアビィ・アハメド首相と北部ティグライ地域の統治者に制裁を科すと圧力をかけた。
しかし、ティグライ地域の戦況は地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の声明で悪化したことが先日明らかになった。TPLFによると、エチオピア軍は先週、10万人規模の戦力で北部地域に対する協調攻撃を開始したという。
エチオピア政府はTPLFをテロ組織に指定しているが、ティグライ地域を長年統治してきたTPLFは合法な政党と主張している。
一方、ケニアはイスラム過激派組織のテロを阻止するために長年米国と協力し、信頼関係を構築してきた。
ケニアは今月の国連安全保障理事会 議長国であり、またアフリカ大陸の中で特に強くティグライ紛争の終結を求めている。
ケニヤッタ大統領は国連本部の記者団に、「紛争の軍事的解決は想定しておらず、当事者は対話を通じて解決を図る必要がある」と述べた。
米主要メディアによると、バイデン政権は制裁対象者をリストアップし、省庁間レビューを実施している最中だという。APの取材に応じた政府当局者は、「リストは政権の全ての関係機関で確認される」と述べた。
バイデン大統領は先月の演説で、紛争の終結に向けた劇的な変化が見られなければ制裁を科すと述べた。
ティグライ地域の食糧供給は切迫しており、国連は7月の報告の中で子供を含む40万人以上が餓死の危機に瀕していると警告した。
しかし、エチオピア政府は国際社会の干渉を拒否するだけでなく、ティグライ地域に援助物資を輸送しようとする人道機関の活動を妨害している。
国連はエチオピア軍の兵士に食糧や医薬品を含む物資の輸送を阻止されたと主張しているが、アビィ首相はこの主張を却下した。AFP通信などによると、これまでに地域内で少なくとも数十人の餓死者を確認したが、約600万人が生活する紛争地域の大半は立入禁止エリアに指定されているため、住民の困窮状態を確認することは難しいという。
一方、ケニヤッタ大統領はパンドラ文書で告発された主要な指導者のひとりであり、疑惑の目を向けられている。
約1,200万の膨大なファイルで構成されるパンドラ文書のデータは、ワシントンD.C.に本拠を置く国際調査報道ジャーナリスト連合(ICU)によって取りまとめられ、先日公開された。世界規模の調査に関与したメディアと組織は140を超える。
報告書によると、ケニヤッタ大統領の家族は海外に約3,000万ドル(35億円)の資産を保有しているという。ただし、パンドラ文書はケニヤッタ大統領とオフショア会社のつながりを証明する証拠を提示していない。
ホワイトハウスの当局者はAP通信の取材に対し、「パンドラ文書の話題は恐らく首脳会談で取り上げられる」と述べた。