◎アラブの春から10年以上経過し、チュニジアではサイード氏を敵視する野党政治家や活動家が相次いで逮捕される事態となっている。
アフリカ北部・チュニジアで14日、大統領選の選挙運動が正式にスタートした。
首都チュニスの中心部ではサイード(Kais Saied)大統領に抗議する市民と支持者がにらみ合いになり、警察が仲裁に入った。
数百人の反サイード派は市内を行進し、警察による野党政治家や活動家の取り締まりを非難。サイード氏に退陣を求めた。
チュニスの建設会社で働く男性はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラの取材に対し、「サイードにNOと言いたい。彼はチュニジアの民主主義を台無しにした」と語った。
サイード氏は「アラブの春(2010~12年)」につながった「ジャスミン革命」で独裁者ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領を追放した政治家たちが約束を果たさず、汚職に手を染めたと非難。その勢いで大統領に就任した。
その後、サイード氏は2021年7月に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖。野党はこれをクーデターと非難し、各地で小規模な抗議デモを続けている。
議会は22年3月に解体され、同年12月に議会選が行われたものの、投票率は9%に届かなかった。
アラブの春から10年以上経過し、チュニジアではサイード氏を敵視する野党政治家や活動家が相次いで逮捕される事態となっている。
デモ隊は内務省前で立ち止まり、取り締まりという名の弾圧をやめるよう呼びかけた。
またデモ隊は庁舎前を警備する機動隊に向けて「砂糖はどこ?石油は?自由はどこ?民主主義はどこ?」と書かれた看板を掲げた。
主要野党アンナハダは13日、同党の幹部や党員を含む少なくとも80人が今週逮捕されたと明らかにした。それ以外の市民を含む全体の逮捕者数は100人を超えている。
選挙管理委員会は先週、大統領選への出馬を表明した野党候補17人のうち2人の立候補を許可。そのうちの1人であるザメル(Ayachi Zammel)氏は立候補を許可された直後に身柄を拘束された。
大統領選は10月6日に予定されている。地元メディアが最近行った世論調査によると、サイード氏の支持率は他の2候補を大きく引き離している。