◎スエズ運河は世界で最も重要な水路のひとつであり、この地域だけでなく世界の貨物船が通航する。
エジプトのスエズ運河庁は17日、2023年1月1日からスエズ運河の通行料を引き上げると発表した。
同運河は世界で最も重要な水路のひとつであり、この地域だけでなく世界の貨物船が通航する。
スエズ運河庁は声明で、「石油と石油製品を運ぶタンカーは15%、ドライバルク船とクルーズ船には10%、料金を上乗せする」と説明した。
同庁のラビ(Osama Rabie)長官は国営テレビの取材に対し、「世界的なインフレが水路の運営、メンテナンス、海上サービスのコストを引き上げているため、値上げは避けられない」と述べた。
スエズ運河西ルートを通過する貨物の価値は1日あたり約40億ドル、東ルートは約36億ドルにのぼる。これは世界貿易の約10%に相当する。
また通行料はエジプト政府の重要な収入源であり、この国で生活する約1億300人の生活を支えていると言っても過言ではない。
ロシアのウクライナ侵攻がもたらした食料・燃料価格の高騰はエジプト経済に大打撃を与えている。エコノミストによると、穀物や燃料価格の高騰で同国の外貨準備は確実に目減りしている。
昨年、運河を通航した船舶は2万649隻。2020年の1万8830隻から約10%増加した。運河の年間収入は2021年に63億ドルに達し、史上最高となった。
スエズ運河庁は昨年3月のタンカー座礁事件を受け、南部水路の拡張工事を進めている。エバーギブン号は6日間同運河を封鎖し、世界の海運を混乱させた。