◎エバーギブン号は3月23日にスエズ運河のど真ん中で座礁し、世界の海運に甚大な影響を与えた。
7月4日、エジプトのスエズ運河庁(SCA)は声明で、3月末にスエズ運河を封鎖したエバーギブン号の所有者との補償交渉が合意に至ったことを明らかにした。
エバーギブン号は3月23日にスエズ運河のど真ん中で座礁し、世界の海運に甚大な影響を与えた。
同船の所有者は愛媛県今治市に本拠を置く船舶リース会社の正栄汽船、運航者は台湾を拠点とする大手海運会社のエバーグリーンマリン社。運航管理会社はバーンハード・シャルト・シップマネジメント。建造は2018年、全長400m、幅59m、総重量約20万トン。中国からオランダのロッテルダムに貨物を輸送する途中で座礁したため、35億ドル相当(3,800億円)のコンテナは現在も積まれたままと伝えられている。
SCAは正栄汽船との補償交渉の詳細を明らかにしなかった。現地メディアによると、契約の詳細は7月7日にイスライリア県で行われる式典の中で公表され、エバーギブン号は同日に解放される予定だという。
SACのオサマ・ラベイ長官は先月、補償額に合意したことを明らかにしたが、最終契約に署名するまで詳細は公表されないと述べていた。
巨大タグボートと関係者の努力で座礁からどうにか抜け出したエバーギブン号はほとんどの乗組員とともに、運河中央の湖に留まるよう命じられていた。
補償金は救助活動費用や運河の停滞に伴う損失などを補償するもので、額は数億ドル規模になると予想されている。
SACは当初、9億1,600万ドル(約1,000億円)の補償を要求したが、その後、額は5億5,000万ドル(約600億円)まで引き下げられた。
双方は悪天候、運河当局者の過失、乗組員の人的ミスまたは技術的ミスなど、座礁の原因を追求しながら約3カ月間交渉を行った。
6日間におよぶスエズ運河の歴史的な封鎖で世界の海運は大混乱に陥り、数百隻の巨大貨物船が待ちぼうけを余儀なくされた。
当局はエバーギブン号が座礁した原因をまだ明らかにしていないが、一部の専門家は人的ミスの可能性が高いと指摘している。
正栄汽船は3月の記者会見で、船本体の保険は東京海上日動、損保ジャパン、三井住友海上、賠償保険はイギリスのP&Iクラブと契約していることを明らかにした。