◎スエズ運河庁は27日の記者会見で、エバーギブン号は「人的ミス」で座礁した可能性があると述べた。
3月27日、スエズ運河のど真ん中で座礁したエバーギブン号を再浮上させる新たな取り組みは失敗し、世界の海運を混乱させている大渋滞は改善しなかった。
スエズ運河庁は27日の記者会見で、エバーギブン号は「人的ミス」で座礁した可能性があると述べた。同庁は先日、エバーギブン号は強風にあおられ座礁したと述べていた。
同庁のオサマ・ラベイ氏は記者団に対し、「人的または技術的なミスにより座礁した可能性があります」と述べた。
エバーギブン号は23日にアジアとヨーロッパを最短ルートで結ぶスエズ運河のど真ん中で座礁した。国連のデータベースによると、エバーギブン号の所有者は愛媛県今治市に本拠を置く船舶リース会社の正栄汽船、運航者は台湾を拠点とする大手海運会社のエバーグリーンマリン社。運航管理会社はバーンハード・シャルト・シップマネジメント。建造は2018年、全長400m、幅59m、総重量約20万トン。一度に最大20,000個のコンテナを輸送できる。
ラベイ氏は撤去作業の完了予定日は予測できないと述べた。オランダの救助専門会社、ボスカリスのチームは、満潮と大型タグボートを利用してエバーギブン号を再浮上させようとしている。
ラベイ氏は、「エバーギブン号に積み込まれた貨物を撤去せずに船を解放したい」と強調した。「私たちは困難な状況にありますが、貨物の撤去だけは避けたいと考えています」
記者からスエズ運河の再開時期を質問されたラベイ氏は、「分からないので何も言えない」と答えた。
エバーギブン号の運航管理会社、バーンハード・シャルト・シップマネジメントと、運河サービスプロバイダーのレス・エージェンシーズは満潮救出作戦で事態は改善すると述べていたが、総重量20万トンの巨大貨物船はスエズ運河をブロックし続けている。
バーンハード・シャルト・シップマネジメントは先日、(船尾付近の)砂とバラスト水を除去したおかげで「撤去作業は大きく前進した」と述べていた。スエズ運河庁によると、これまでに船首周辺の砂、約20,000トンと、エバーギブン号を安定させるために船底などに貯蔵されている約9,000トンのバラスト水を除去したという。
27日の作業も総動員体制で行われている。バックホーは船首付近の砂や泥を取り除き、12台の大型タグボートに乗船した作業員たちは昼夜を問わず働いた。
オランダの救助専門会社、ボスカリスのピーター・ペルドウスキーCEOは26日、「大型タグボート、砂場の掘削、満潮を組み合わせて数日以内に船を動かしたい」と述べた。
オランダの時事番組に出演したペルドウスキーCEOは、「船の前方部は砂質粘土層にめり込んでいるが、後部は完全にはめり込んでおらず、満潮時に牽引することで現状を打破したい」と語った。「前方部の砂を取り除き、満潮時にタグボートで牽引する試みを継続します。来週の初めには事態が改善することを願っています」
ペルドウスキーCEOは満潮時の試みが失敗した場合、船の前方部のコンテナを何百個か撤去し、同じ工法を継続すると述べた。「コンテナを吊り上げる大型クレーンが現地に向かっています。また、オランダとイタリアの新たなタグボートも28日にエジプト入りする予定です」
一方、エジプトのムスタファ・マドブリー首相はスエズ運河封鎖後初の公式声明を発表し、エバーギブン号の窮状を「異常な事件」と呼んだ。
スエズ運河庁はメディアの現地取材を27日に初めて許可した。AP通信によると、作業にあたっているタグボートは取材チームの船よりはるかに大きかったが、エバーギブン号の巨体を動かせるとは到底思えなかったという。
現在、少なくとも300隻以上の貨物船が運河の両側で立ち往生している。一部の貨物船はアフリカ大陸ルートを選択した。
海運の専門、ロイズリストのデータによると、スエズ運河西ルートを通過する商品の価値は1日あたり約5,600億円、東ルートは約5,000億円にのぼり、エジプト政府は1日あたり最大15億円の収入を失っているという。
スエズ運河庁は27日の声明の中で、支援を申し出てくれたアメリカ、中国、UAEに感謝すると述べた。