◎軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は9日、スーダン西部ダルフールで軍事政権と戦争状態にある準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が民族浄化を行っていると告発した。
HRWは報告書の中で、「スーダン軍と対峙するRSFが他のアラブ系武装民兵と連携して、西ダルフール州の州都ジェネイナなどでアフリカ系住民を虐殺している」と明らかにした。
それによると、RSFは2023年4月から6月にかけて、ジェネイナのアフリカ系住民が多く暮らす地区を標的とし、同年11月にも大規模攻撃を仕掛けたという。
一連の攻撃による数千人が死亡、50万人以上が避難を余儀なくされたとみられる。
軍政とRSFは昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の3割にあたる約1800万人が飢餓に直面している。
HRWは多くのアフリカ系住民が拷問を受け、女性や少女はレイプされ、地域全体で民族浄化が行われていると指摘した。
HRWはダルフールから近隣諸国に逃れた220人以上にインタビューを行い、攻撃に関連する写真、ビデオ、衛星画像を分析したという。
国連はジェネイナだけで昨年少なくとも1万人が殺害されたと推定している。
軍政・RSF合同軍は2019年に独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)を追放した。
バシルはアラブ系部族を武装化し、「ジャンジャウィード」と呼ばれる武装民兵をダルフールに送り込んだと告発されている。国連はダルフール紛争の死者数を30万人と推定している。