スーダン土砂崩れ、375人の遺体埋葬、反政府勢力が行方不明者捜索中
この土砂崩れは8月31日に発生。過去数日間の大雨で地盤が緩み、北ダルフール州エルファーシルから逃れた避難民が身を寄せる集落が消滅した。
-1.jpg)
アフリカ北東部・スーダンの西部ダルフール地方で発生した大規模な土砂崩れについて、地元当局は4日、数百人の遺体を収容・埋葬したと明らかにした。
この土砂崩れは8月31日に発生。過去数日間の大雨で地盤が緩み、北ダルフール州エルファーシルから逃れた避難民が身を寄せる集落が消滅した。
この集落を支配する反政府勢力「スーダン解放運動/軍(SPLM/A)」は1000人以上が死亡し、助かったのは1人だけと報告している。
AP通信はSPLM/A当局者の話しを引用し、「地元当局が現地支援団体の協力を得て375人の遺体を収容、埋葬したが、残りの行方不明者は依然として地中深くに閉じ込められている」と報じた。
それによると、数十人のボランティアが合同葬を執り行い、犠牲者を埋葬したという。
エルファーシルを除くダルフール全域を支配する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」はこの土砂崩れについてコメントしていない。
被害の全容は明らかになっておらず、軍事政権はこの地域に近づけないため、現地の状況を把握することは困難である。
APによると、SPLM/Aが捜索・救助活動を指揮しているという。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は1000人以上が死亡したというSPLM/Aの報告を支持し、現地に近づくことは困難で、被害の全容を確認することは難しいとしている。
軍政は1日の声明で犠牲者に哀悼の意を表し、RSFを非難。遺体を収容するためにできる限りのことをすると約束した。
この集落は首都ハルツームの西方約900キロ、標高3000メートルを超える山岳地帯に位置する。
軍政とRSFは23年4月からハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。
正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。
RSFのダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)司令官は先月、軍政に対抗するもうひとつの政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」の最高指導者に就任した。
今回土砂崩れに巻き込まれた集落とその周辺には激戦が続くエルファーシルの住民数万人が身を寄せているとされる。
RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。
エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍事政権の最後の主要拠点となっている。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲している。