スーダン軍政がリビア軍閥トップを非難、国境から部隊撤退

軍は前日、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」がリビアの軍閥トップである元国軍将校のハフタル司令官と連携して攻撃を仕掛けてきたと主張していた。
2022年4月27日/スーダン、首都ハルツーム、軍事政権に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

アフリカ北東部・スーダンの軍事政権は11日、隣国リビアの国境地帯から部隊を撤退させたと明らかにした。

軍は前日、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」がリビアの軍閥トップである元国軍将校のハフタル(Khalifa Haftar)司令官と連携して攻撃を仕掛けてきたと主張していた。

それによると、陸軍に所属する民兵はリビア国境沿いをパトロール中、RSFとハフタル氏の部隊から攻撃を受けたという。

軍政はハフタル氏がRSFと連携してこの地域に武器を密輸していると主張している。

リビア国境は激戦地のひとつである北ダルフール州エルファーシルに近い。

軍政とRSFは23年4月からハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち400万~500万人が周辺のチャドなどに逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14か月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

軍政は11日の声明で、「リビアの侵略を阻止する防御措置の一環として、本日、リビア国境地帯から部隊を撤退させた」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

ハフタル氏の部隊は10日夜、スーダン軍の主張を否定。「スーダン軍がリビアの国境警備隊に攻撃を仕掛けてきた」と主張した。

ハフタル氏はリビア東部政府のバシャガ(Fathy Bashagha)首相と連携。国連の承認を受けた西部政府のドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)首相と対立している。

スーダン軍政はハフタル氏の支援国のひとつであるアラブ首長国連邦(UAE)が武器密輸を主導していると非難。UAEはこの主張を否定している。

スーダン軍と同盟関係にあるエジプトもハフタル氏を支援している。

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