◎軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬からハルツームなどの支配権を争っている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は8日、内戦下のスーダンで市民400万人以上が避難を余儀なくされ、飢餓のリスクが劇的に高まっていると警告した。
それによると、首都ハルツームを含む全国各地で感染症と栄養失調のリスクが高まり、6月中旬から7月中旬にかけて、はしかと栄養失調で300人以上が死亡したという。
避難民400万人のうち約88万4000人が近隣諸国の難民キャンプで戦闘が治まるのを待っている。
軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬からハルツームなどの支配権を争っている。サウジと米国が仲介した最新の停戦合意は6月に失効し、多くの地域で戦闘が激化した。
AP通信によると、軍政はハルツームと姉妹都市オムドゥルマンのRSF拠点を絶えず空爆しているため、多くの市民が避難できずにいるという。
世界保健機関(WHO)はこの4カ月で医療資源と人員が枯渇し、国全体の医療の質が劇的に低下したと警告。国際社会に支援と即時の停戦を繰り返し呼び掛けている。
軍政の報道官は8日、オムドゥルマンで進行中の対RSF作戦により、敵兵数百人を殺害したと明らかにした。
しかし、RSFは同日、軍政の主張を否定し、オムドゥルマンの戦闘で陸軍兵士数十人を殺害したと主張。軍政の作戦は全く機能していないと反論した。
人権団体「スーダン医師中央委員会」によると、RSFはオムドゥルマンの川沿いで戦闘が激化したため、周辺住民に退避するよう命じたという。
同委員会はフェイスブックに投稿した声明で、「オムドゥルマンの中心部にある病院では外科医、血液、酸素ボンベが不足している」と述べ、国際社会に支援を呼びかけた。
軍政は6月、一連の戦闘による死者数を3000人以上と発表したが、それ以降、データを更新していない。人権団体はこれをはるかに上回る犠牲者が出ていると指摘している。
ハルツームに閉じ込めらた市民は水も電気もない中で生活している。
西部ダルフール地方でも戦闘が激化し、RSFとアラブ系部族がアフリカ系部族を虐殺しているとみられる。現場には国営メディアも近づけずにいる。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは軍政とRSF双方がダルフールで戦争犯罪を犯している非難。国際刑事裁判所(ICC)は先月、ダルフールの戦闘で戦争犯罪と人道に対する罪の疑いがあるとして、関係機関と連携した調査を行うと発表した。
スーダンでは雨季が始まっており、広い範囲で大雨による冠水が拡大すると予想されている。UNHCRは今後数カ月でコレラとマラリアが急拡大する可能性があると警告している。