◎南スーダンと国境を接する南部地域では数十年前からベルティ族とハウサ族の土地利用をめぐる衝突が繰り返されてきた。
スーダン政府は9日、南部・白ナイル州で部族間抗争が発生し、少なくとも16人が死亡したと明らかにした。
国営スーダン通信(SUNA)によると、同州政府は夜間外出禁止令を発出したという。
白ナイル州は首都ハルツームの南方に位置し、軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による戦闘の影響を受けていない地域のひとつである。
先月中頃に勃発した軍政とRSFの戦闘による死傷者数は5000人を超えた。
南スーダンと国境を接する南部地域では数十年前からベルティ族とハウサ族の土地利用をめぐる衝突が繰り返されてきた。
SUNAによると、南部や西部ダルフール地方などの過疎地には1980年代に勃発した内戦中、大量の武器が流れ込み、部族間抗争に拍車をかけたという。
SUNAは関係者の話しとして、「白ナイル州の抗争は8日に勃発し、9日にエスカレートした」と報じている。それによると、民間人とみられる少なくとも16人が死亡、数十人が負傷し、多くの民家が焼き払われた。
エチオピアと国境を接する青ナイル州でも昨年10月頃から部族間抗争が本格化し、200人以上が死亡したと伝えられている。
この問題に詳しい専門家によると、ハウサ族はベルティ族に「土地利用を監視する民間組織」を設置するよう要請したが、ベルティ族はこれを拒否したという。
ベルティ族は昨年7月の声明で、「ハウサ族が我々の領土に攻め込んできた」と述べていた。
南部地域に最後に入植したとされるハウサ族はこの地域に伝わる慣習で土地の所有を禁じられており、これに異議を唱えている。
SUNAは専門家の話を引用し、「2021年10月の軍事クーデターによって生じた政治・治安の空白が民族・部族抗争に拍車をかけた」と伝えている。