◎スーダンはかつてない経済的・政治的混乱に陥っている。
2022年4月15日/スーダン、首都ハルツームの大統領府、ブルハン将軍(Sarah Meyssonnier/Pool/ロイター通信)

スーダンの軍事政権は29日、昨年10月の軍事クーデター後に発効した非常事態宣言を解除したと発表した。

文民政府追放後に発足した主権評議会は声明で、「ブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍は非常事態宣言を解除する法令に署名した」と述べている。

主権評議会によると、この決定は民主主義への移行に必要な「有意義かつ実りある対話」を成功させる取り組みのひとつだという。

一方、軍指導部は同日、宣言下の抗議デモで逮捕・投獄された人々を解放すると発表した。

ブルハン将軍は国連の懸念に応えるために宣言を解除したと思われる。国連のスーダン特別代表は29日の抗議デモで市民2人が殺害されたことに懸念を表明し、非常事態宣言の解除を求めていた。

スーダンを30年にわたった支配した独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)は2019年の無血クーデターで追放され、その後、抗議デモを主導した市民グループは軍当局と軍民合同政府「ソブリン評議会」を発足させた。

しかし、その取り決めはブルハン将軍の軍事クーデターで崩壊し、同国はかつてない経済的・政治的混乱に陥っている。2019年の無血クーデターを主導したスーダン医師会によると、治安部隊の取り締まりで死亡した市民は100人近くに達し、数千人が負傷、数百人が投獄されたという。

アフリカ連合(AU)などの国際機関は軍事クーデターを強く非難し、欧米諸国は民主主義が確立されるまで援助を停止するとしている。

世界最貧国のひとつであるスーダンの経済はバシル政権の不作為や紛争の影響でひどく落ち込んでいる。

国連はAUやその他の地域機関にスーダン主導の会議を行うよう働きかけている。

ブルハン将軍は会議の舞台を整えるため、政治犯を解放すると約束している。

2021年10月30日/スーダン、首都ハルツームで開催された抗議デモ(Marwan Ali/AP通信)
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