◎RSFはジャジーラ州東部と北部の集落で20~25日にかけて暴れまわり、120人以上を殺害。女性や子供に性的暴行を加えた。
スーダン、紅海沿岸の都市ポートスーダン、陸軍の兵士(Getty Images)

国連機関である国際移住機関(IOM)は27日、アフリカ北東部・スーダン準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が中部ジャジーラ州で120人以上の市民を殺害したと明らかにした。

それによると、RSFはジャジーラ州東部と北部の集落で20~25日にかけて暴れまわり、120人以上を殺害。女性や子供に性的暴行を加えたという。

IOMのポープ(Amy Pope)事務局長はAP通信の取材に対し、「この虐殺により、先週だけで4万6500人以上の住民が避難を余儀なくされた」と語った。

またポープ氏はRSFを厳しく非難し、国際社会に対し、スーダン内戦にもっと目を向け、戦争犯罪や人権侵害を止めるよう促した。

軍事政権とRSFは昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の5割強にあたる約2500万人が飢餓に直面し、2万4000人以上が死亡、数万人が負傷したと推定されている。

激戦が続く西部ダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

軍政とRSFは現在、ハルツームと北ダルフール州エルファーシルで激戦を繰り広げているとされる。

RSFはダルフール5州のうち4州(東、西、中央、南)を支配するも、軍政とその支援民兵が激しい抵抗を続ける北ダルフール州の制圧には苦戦している。

国連スーダン人道調整官も26日の声明で、RSFの襲撃を「戦争犯罪」と非難。「弱い立場の女性や子供を含む、あまりにも多くの命が失われている」と述べた。

また調整官は「2000年代諸島のダルフール紛争の悪夢を思い起こさせる」と指摘した。

軍政とRSFの合同軍は2019年に独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)を追放。バシルはアラブ系部族を武装化し、「ジャンジャウィード」と呼ばれる武装民兵をダルフール地方に送り込んだとして、国際刑事裁判所(ICC)に指名手配されている。

国連はバシルが主導したダルフール紛争の死者数を30万人と推定している。

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