◎国連はバシルが主導したダルフール紛争の死者数を30万人と推定している。
スーダンの独裁者オマル・バシル(Getty Images)

アフリカ北東部・スーダンの元指導者であるオマル・バシル (Omar al-Bashir、80歳)がオムドゥルマン北部の刑務所から首都ハルツームの病院に移された。現地メディアが23日に報じた。

それによると、バシルは刑務所近くの軍事基地では受けられない治療が必要であるとして、病院に搬送されたという。

軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の合同軍は2019年にバシルを追放した。

バシルはアラブ系部族を武装化し、「ジャンジャウィード」と呼ばれる武装民兵をダルフール地方に送り込んだとして、国際刑事裁判所(ICC)に指名手配されている。

国連はバシルが主導したダルフール紛争の死者数を30万人と推定している。

当時の軍政はバシルをICCに引き渡すことを約束。ICCはバシルの逮捕状を発行した。

しかし、ジャンジャウィードを含むアラブ系部族がバシルの逮捕状に反発し、アフリカ系部族への攻撃を強化。血みどろの内戦に発展し、軍政はバシルの送還を見送った。

これらのアラブ系部族もジェノサイド(集団殺害)と人道に対する罪で告発されている。

バシルの追放から5年、軍政とRSFは現在、ハルツームなどの支配権を争っている。

この戦闘は昨年4月に勃発。世界最悪の人道危機に発展し、人口の5割強にあたる約2500万人が食料不足に喘いでいる。世界保健機関(WHO)はこの1年半で2万人以上が死亡、数万人が負傷したと推定している。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

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