◎大エチオピア・ルネサンスダムはナイル川の支流のひとつである青ナイル川で建設が進められている。
スーダンの軍事政権を率いるブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍は26日、エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相と会談し、物議を醸している「大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam)」の問題について、エチオピアと合意に至ったと示唆した。
スーダンの野党はアビー氏の訪問に深刻な懸念を示し、「軍事政権の指導者と会談すべきでない」と非難している。
ブルハン氏は2021年10月のクーデターで民主指導者を追放した。
軍の報道官はブルハン氏の声明を引用し、「スーダンとエチオピアは大エチオピア・ルネサンスダムに関する全ての問題で合意している」と述べている。
同ダムは2011年の工事着工以来、エチオピアとナイル川下流のエジプトおよびスーダンの緊張を高める源となっている。
アビー氏は声明で、「大エチオピア・ルネサンスダムがスーダンに害を及ぼすことはなく、電力供給の面でスーダンに利益をもたらすことを確認した」と述べている。
同ダムの建設と運営をめぐっては、国連などが仲介する3カ国協議が何度も行われてきたものの、合意には至っていない。
スーダンとエジプトは同ダムが運用を開始することで、重要な水源であるナイル川の水量が減少する可能性があるとし、エチオピア政府に放水量を適切に管理する国際協定を結ぶよう求めている。
エチオピア政府は昨年2月、同ダム1号機の発電を開始した。エジプトは国内で消費する飲料用水や灌漑(かんがい)用水の80%以上をナイル川に依存している。