◎地元メディアは21日午後、戦闘機がハルツーム中心部を空爆したと報じた。
スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」はイスラム教の断食月ラマダンの終わりを祝う祭日「イード・アル・フィトル」に合わせて72時間の停戦に合意したが、首都ハルツームとダルフール地方では激戦が続ているようだ。
地元メディアは21日午後、戦闘機がハルツーム中心部を空爆したと報じた。
人権団体「スーダン医師中央委員会」によると、一連の戦闘による死者は確認できているだけで600人近くに達し、5000人近くが負傷したという。
同委員会は21日、「ハルツームで多くの病院が被害を受け、その南方350kmにある4つの病院が閉鎖された」と明らかにした。
軍政を率いるブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍とRSFの司令官ダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)将軍は互いを非難し、停戦発表以降も戦闘を続けているようだ。
軍とRSFは2019年の独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)追放作戦で力を合わせたものの、民政移管に向けた協議で対立。衝突を引き起こした。
RSFはバシルが創設したアラブ系部族民兵「ジャンジャウィード」から派生した組織のひとつ。2013年に創設された。
ジャンジャウィードとRSFはアフリカ系部族を虐殺したと告発されている。ダルフール紛争の死者数は30万人、300万人近くが故郷を追われたと推定されている。
ブルハン氏は民政移管に向けた取り組みの一環として、RSFを含む国内の様々な武装勢力を陸軍に統合するよう求めている。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は21日の声明で、ダルフール地方の状況を「壊滅的」と説明した。
一方、ブルハン氏は同日、「軍は民政移管に向けた取り組みにコミットしている」と宣言した。
ブルハン氏は昨年も民政復帰と選挙を約束したが、民主派勢力との協議は難航し、現在に至る。
ブルハン氏はテレビ演説の中で「民政への安全な移行を確保する」と約束した。しかし、ハルツームの市民はこの演説中にも爆発音や銃声を聞いたとSNSに投稿。ブルハン氏の約束はむなしく響いた。
AP通信によると、イード停戦発効から1時間もしないうちに爆発音が聞こえたという。
今週初めの2回目の停戦(24時間)もあっさり破綻している。
米政府は在スーダン大使館や自国民の避難に向けた準備を進めるとして、この地域に軍を派遣すると発表した。
日本と韓国政府も近隣に軍機を派遣している。
隣国チャドは開戦直後に国境を閉鎖したが、国連によると、女性や子供を中心に市民2万人ほどがチャド領内に逃げ込んだという。