◎スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
2022年1月4日/スーダン、首都ハルツームの抗議デモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

内戦下にあるスーダン経済が危機的状況に陥っている。国際通貨基金(IMF)が10日に公表した報告書で明らかにした。

それによると、同国のGDPは今年、18%以上縮小する見通し。

IMFは世界経済の見通しについて、「紛争が公共インフラを破壊し、国民生活に欠かせない基本的なサービスに影響を与えていることは明白である」と指摘している。

スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬から首都ハルツームなどの支配権を争っている。サウジアラビアと米国が仲介した停戦合意は6月に失効し、多くの地域で戦闘が激化した。

ハルツームでは広い範囲で市街戦が展開されているとみられる。地元の活動家などによると、RSFは民家を徴用し、国軍に待ち伏せ攻撃を仕掛けているという。

被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連はこの半年で1万人近くが死亡、数万人が負傷し、500万人以上が避難民になったと推定。実際の死者数はもっと多いとみられる。

スーダンは世界で最も貧しい国のひとつであり、紛争前からインフラに多くの問題を抱えていた。

国連によると、同国のインフレ率は3桁に達し、食料を含むあらゆる物資が不足しているという。

同国はアフリカ第3位の金産出国だが、紛争以来、輸出が停止しており、外貨を得られずにいる。

GDPの4割、雇用の8割近くを占める農業部門も輸出停止により、大打撃を受けている。

スーダン・ポンドは現在、「1ドル=600スーダン・ポンド」前後で取引されている。2年前は「1ドル=50~55」であった。

IMFは報告書の中で、「スーダンの紛争の影響は長期化する可能性が高く、復興には何年もかかるだろう」と警告している。

またIMFは「スーダン経済の低迷は近隣諸国にも影響を与える可能性がある」と指摘。「脆弱な北・東アフリカ諸国の経済成長を阻害するだろう」と警告した。

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