◎軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
アフリカ北東部・スーダンへの国境を越えた人道支援物資輸送が停止された。複数の援助団体が5日、明らかにした。
それによると、チャドからスーダン西部への物資輸送が内戦の影響で継続できなくなったという。
軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
内戦は部族間紛争が続く西部ダルフールに拡大。アラブ系とアフリカ系部族の対立を激化させ、数千人が殺害されたり、餓死したと推定されている。
軍政はチャドからRSF向けの武器が輸送されていると情報機関が懸念を示したことを受け、国境警備を強化。物資の持ち込みを禁じた。
外務省の報道官はトルコで開催された外交フォーラムの中で、「我が国の安全保障を脅かすいかなる行為にも厳正に対処する」と述べていた。
AP通信の電話取材に応じたダルフールの援助団体は「物資輸送が許可されなければ、悲惨な結果を招くことになる」と警告した。
国連世界食糧計画(WFP)も懸念を表明。「チャドからスーダン西部への国境を越えた物資輸送が停止されることによる人道危機の悪化を心配している」と指摘した。
それによると、ダルフールの住民170万人以上が1日1食以下の生活を余儀なくされ、数十万人がいつ餓死してもおかしくない状態にあるという。
30万人が死亡したと推定されているダルフール紛争の避難民約270万人の半分近くがチャド国境近くでキャンプ生活を送っている。
昨年4月以降の戦闘による死者は1万2000人以上と推定されているが、戦地の状況はほとんど明らかになっておらず、実際の犠牲者はもっと多いとみられる。