内戦下のスーダンでコレラ流行続く、首都だけで1日1000人感染

ウイルスは首都ハルツームを中心に広がり、姉妹都市のオムドゥルマンから周辺地域に拡大した。
アフリカ北東部・スーダン、首都ハルツーム近郊の水汲み場(AP通信)

アフリカ北東部・スーダンでコレラの流行が続き、1日1000人を超える感染者が報告されている。

ウイルスは首都ハルツームを中心に広がり、姉妹都市のオムドゥルマンから周辺地域に拡大した。

コレラは感染性下痢症のひとつで、治療せずに放置すると数時間で死に至ることもある。コレラ菌に汚染された水を飲んだり食品を食べたりすることで感染する。

軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は23年4月からハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち400万~500万人が周辺のチャドなどに逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14か月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると、国の水道を含む公共インフラと衛生システムはほぼ機能しておらず、多くの住民が川の水などを使って生活しているという。

MSFのスーダン事務所は今週初め、ハルツームだけで1日あたり1000人超の感染者が報告されていると明らかにした。

それによると、清潔な水が手に入る地区は限られており、ハルツームの中心部でも断水が続いているという。

ほとんどの症例はハルツームと隣のオムドゥルマンで報告されている。保健当局によると、ダルフール、北コルドファン、ナイル川沿いの地域でも感染者が確認されているという。

軍政は3月下旬にハルツームを奪還。この結果、多くの避難者がハルツームに戻った。オムドゥルマンの一部地域では戦闘が続いている。

軍政のイドリス(Kamil al-Taib Idris)首相は先週、最高指導者であるブルハン(Abdel-Fattah Burhan)将軍の前で宣誓し、組閣を開始した。

RSFも新政府を樹立している。

軍政は昨年8月にコレラの流行を宣言した。

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