スーダン土砂崩れ、反政府勢力が国際社会に支援要請、死者1000人超
被害の全容は明らかになっておらず、軍事政権はこの地域に近づけないため、現地の状況を把握することは困難である。
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アフリカ北東部・スーダンの西部ダルフール地方で発生した大規模な土砂崩れについて、地元当局は2日、国際社会に支援を要請した。
土砂崩れは8月31日に発生。過去数日間の大雨で地盤が緩み、北ダルフール州エルファーシルから逃れた避難民が身を寄せる集落が大量の土砂に飲み込まれた。
この集落を支配する反政府勢力「スーダン解放運動/軍(SPLM/A)」は声明で、「村全体が消滅し、手の施しようがない状態だ」と述べた。
SPLM/Aは1000人以上が死亡し、助かったのは1人だけと報告している。
エルファーシルを除くダルフール全域を支配する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」はコメントを出していない。
被害の全容は明らかになっておらず、軍事政権はこの地域に近づけないため、現地の状況を把握することは困難である。
SPLM/Aは1日の声明で、「村が丸ごと消滅し、そこにいたほぼ全ての人が土砂に飲み込まれたようだ」と述べていた。
AP通信は地元当局者の話しとして、「ボランティアが手作業で土砂をかき分け、これまでに9人の遺体を収容した」と伝えている。
現地メディアによると、この集落は標高3000メートルを超える山岳地帯に位置する。
軍政は1日の声明で、犠牲者に哀悼の意を表し、RSFを非難。遺体を収容するためにできる限りのことをすると約束した。
軍政とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。
正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。
RSFのダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)司令官は先月、軍政に対抗するもうひとつの政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」の最高指導者に就任した。
今回土砂崩れが発生した集落とその周辺には激戦が続くエルファーシルの住民数万人が身を寄せているとされる。
RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。
エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍事政権の最後の主要拠点となっている。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲している。