◎当局は首都ハルツームと周辺都市を結ぶナイル川の橋をすべて閉鎖するために兵士を配備した。
2021年12月25日/スーダン、首都ハルツーム、軍民政府に反対する抗議デモ(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

12月25日、スーダンの治安当局は軍民合同政府に反対するデモ隊に催涙ガス弾を撃ち込み、厳しく取り締まった。デモ行進は首都ハルツームなどで開催され、数千人が参加したと伝えられている。

国営通信社SUNAによると、当局はハルツームと周辺都市を結ぶナイル川の橋をすべて閉鎖するために兵士を配備したという。

当局は以前、ハルツームの中心部にある政府庁舎に近づかないよう武装勢力に警告していた。SUNAによると、閣僚は混乱に備え警備を強化することに合意したという。

デモ行進はハルツームの複数のエリアでほぼ同時に始まり、参加者は政府庁舎を目指した。活動家のナジム・シラグ氏はソーシャルメディアに、「治安部隊は抗議者を追い払うために催涙ガス弾を使った」と投稿し、ハルツーム以外の都市でも同じような取り締まりが行われたと報告した。

またシラグ氏によると、治安部隊はハルツームとオムドゥルマン(都市)のデモに参加した市民少なくとも5人を射殺したという。

軍は10月25日にアブダッラー・ハムドゥーク首相と政府高官を拘束し、軍民合同政府「ソブリン評議会」を解散したうえで、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。

軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導くソブリン評議会を創設したが、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。

ハムドゥーク首相とクーデターの首謀者であるアブデル・ファッタ・バーハン将軍は先月、権力共有協定に署名し新たな軍民合同政府を発足させたが、協定の内容は一切明らかにされておらず、民主勢力と活動家たちは軍の権力が強化された可能性に懸念を表明し、各地で抗議デモを続けていた。

治安部隊は先週、政府庁舎の近くで抗議デモを行ったグループを殴打した。またAP通信などによると、12月19日の取り締まりではデモに参加した市民少なくとも3人が射殺され、300人以上が負傷したという。

先週の抗議は治安部隊の兵士が女性と少女合わせて10人以上をレイプしたという報告に対するものだった。国連によると、兵士たちはデモに参加した女性を狙ったという。

国連のスーダン特使であるフォルカー・ペルテス氏は25日、野党と活動家の権利を尊重し、デモに参加したという理由だけで人々を逮捕しないよう政府に求めた。「表現の自由は基本的人権のひとつです。これにはインターネットへのアクセスも含まれます。平和的に抗議している市民を逮捕すべきではありません」

ロイター通信などによると、ハルツームと周辺都市のインターネット通信は25日の早朝からつながりにくくなったという。ロイターの取材に応じたプロバイダーのひとつは、「進行中の通信障害は規制当局の指示に基づくもの」と述べた。

政府は通信障害に関する声明を発表していない。

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