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スーダン、3年連続で世界の人道危機監視リスト1位に

スーダンの人道危機はこの国を壊滅的な内戦が覆っている現状を反映したものだ。
アフリカ北東部・スーダン、ダルフール地方(Getty Images)

アフリカ北東部・スーダンが2026年の世界の人道危機監視リストで3年連続の最悪国としてトップに挙げられた。これは国際援助団体「インターナショナル・レスキュー・コミッティ(IRC)」が16日に公表した「エマージェンシー・ウォッチリスト」で、来年さらに深刻化が懸念される20の人道危機を抱える国・地域をまとめたものである。

スーダンの人道危機はこの国を壊滅的な内戦が覆っている現状を反映したものだ。

IRCによると、リストに入った国や地域は世界の人口の約12%にすぎないにもかかわらず、支援を必要とする人々の89%を占めるという。

スーダンが1位、2位には占領下のパレスチナ地域、3位には南スーダンが続き、他にもエチオピア、ハイチ、コンゴ民主共和国、レバノン、ウクライナ、シリア、イエメンなどが名を連ねた。

IRCは報告書の中で、紛争や災害、経済崩壊が複合して人道状況を悪化させていると指摘。世界全体が「新たな世界秩序の混乱(New World Disorder)」に直面していると警告した。

スーダンは2023年4月に国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間で権力闘争が激化し、内戦状態に陥った。この対立は当初の市民統治への移行計画を頓挫させ、大規模衝突とそれに伴う市民への甚大な被害を引き起こしている。戦闘と暴力は広範囲に及び、何万人もの死者と、何百万人もの避難民を生んだ。

この内戦による人道危機の規模は世界最大級と評価されており、戦闘によって食糧供給網が寸断され、病気の蔓延や飢餓が深刻化している。国連などの国際機関の報告では、戦闘が継続する中で何百万人もの国内避難民と難民が発生し、家族単位で避難を余儀なくされている。医療体制も壊滅的な打撃を受け、住民は基本的な医療サービスすら受けられない状況となっている。

IRCは「今年のウォッチリストは惨状の証であると同時に警告でもある」と述べ、国際社会に対して人道支援の大幅な拡大を求めた。特に世界的な人道支援の資金は前年に比べて約50%減少しており、資金不足が危機対応能力を著しく低下させているとして、迅速な対応を強く訴えた。

IRCは国連安全保障理事会に対して大量虐殺や重大な人権侵害が発生している場合には拒否権を制限するなど、国際的な行動の強化を求める提案も出している。

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