スーダン準軍事組織RSF、西コルドファン州の制圧主張、軍政は否定
RSFは自軍が国軍の司令部とその付属施設を奪取したと主張。複数のソーシャルメディア映像には、RSF兵が司令部内を自由に歩き回り、門の前で祝砲を上げる様子が映っていた。
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スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が2日、同国南部の石油産出地域にある戦略的拠点、西コルドファン州を「完全に制圧した」と宣言した。
RSFは自軍が国軍の司令部とその付属施設を奪取したと主張。複数のソーシャルメディア映像には、RSF兵が司令部内を自由に歩き回り、門の前で祝砲を上げる様子が映っていた。
RSFは声明の中で、先立って行われた国軍側の「奇襲攻撃」を退けたうえで制圧に至ったと主張。RSF幹部はこれを「人道的停戦の明白な違反」と非難した。
対立する軍事政権はこれを否定。「町全体の掌握には至っていない」と述べ、RSFによる日常的な砲撃やドローン攻撃が続いていると主張している。
国軍はRSFが先月一方的に発表した人道的停戦について、動きを隠すための策略だと非難した。
ロイター通信は情報筋の話しとして、西コルドファン州がRSFの支配下に置かれたかどうかは分からないと報じている。
双方の主張は食い違っている。情報筋によると、RSFは10月に隣のダルフール州の主要都市エルファーシルを制圧して以降、コルドファン地方に勢力を拡大してきた。
もしRSFによる掌握が確定すれば、国軍は主要な石油産出地域を失うことになる。西コルドファンの制圧はさらなる勢力圏拡大と、スーダン国内での戦況の急激な傾きの象徴ともなりかねない。
こうした軍事的転換が進む一方で、現地では住民の避難、農地荒廃、社会インフラの破壊など人道危機の拡大が懸念されている。先月にはRSFの包囲により収穫が中断されたとの報告もある。
軍政とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では数千人が餓死者したという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。
正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。
