南スーダン野党、大統領の対話呼びかけを拒否、内戦リスク高まる

同国ではキール大統領を支持する勢力とマシャール副大統領を支持する民兵による小規模な戦闘が全国各地で続いている。
南スーダン、キール大統領(右)とマシャール副大統領(Getty-Images)

アフリカ東部・南スーダンの首相野党SPLM-IOは17日、和平を求めるキール(Salva Kiir)大統領の呼びかけを拒絶した。

SPLM-IOの報道官は記者会見で、「キール大統領は和平を求めるのであれば、政治的な理由で恣意的に拘束したSPLM-IO指導部や関係者を今すぐ釈放すべきだ」と語った。

同国ではキール氏を支持する勢力とマシャール(Riek Machar)副大統領を支持する民兵による小規模な戦闘が全国各地で続いている。

キール氏はマシャール氏に近い政府高官を解任し、マシャール派を怒らせた。

3月初旬、北東部で国軍とマシャール派の民兵が衝突。国軍はこの攻撃により撤退を余儀なくされた。

キール氏はこれに激怒し、マシャール派の閣僚を含む複数の幹部を逮捕。3月末にはマシャール氏も逮捕・勾留した。

マシャール氏を含む高官数人が現在、自宅軟禁下に置かれている。マシャール氏の支持者の中には弾圧を恐れ、国外に逃亡した者もいる。

キール氏は16日の議会演説で団結と和解の必要性を強調。「平和の扉は依然として開かれている」と野党に呼びかけた。

またキール氏は「この苦難を対話の拒否によって継続してはならない」と述べた。

SPLM-IOはこの演説を「戯言」と一蹴。キール氏が野党を弾圧し、与党・スーダン人民解放運動(SPLM)の支配を確立しようとしている非難した。

南スーダンは2011年に独立。2年後の2013年、キール氏に忠実な組織がマシャール氏の支持勢力に攻撃を仕掛け、内戦が勃発。18年の和平合意で終結した。その犠牲者は40万人以上と推定されている。

AP通信はSPLM-IO高官の話しとして、「キール氏の呼びかけは矛盾に満ちており、本心から出たものではない」と報じた。

国連は先月、南スーダン・上ナイル州の住民約3万2000人が10以上の国連機関、政府、援助団体などが参加する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉調査委員会(FRC)が定めるフェーズ3に該当すると明らかにした。

フェーズ3は危機レベルの飢餓と定義され、フェーズ4は緊急事態、フェーズ5は大災害または飢饉とみなされる。

国連によると、他の地域の状況は多少改善しつつあるものの、同国の人口1150万人のうち約57%が栄養失調に直面している。

同国の一部地域では内戦下の2017年に飢饉が宣言された。

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