サイの角に放射性同位体を注入、密猟阻止へ 南アフリカ
シロサイは国際自然保護連合(IUCN)の準絶滅危惧種に、クロサイは絶滅危惧種に指定されている。
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南アフリカの大学は7月31日、サイの密猟を阻止する取り組みのひとつとして、犀角(さいかく)に税関当局が検出可能な放射性同位体を注入する密猟防止プロジェクトを開始した。
このプロジェクトにはヨハネスブルグのウィットウォーターズランド大学、原子力当局、自然保護団体が参加。31日に5頭のサイに注入した。
この放射性同位体は無害である一方、空港や国境の放射線検出器で簡単に検知できる。
当局は減少傾向にあるクロサイやシロサイの角にこれを注入することで密猟を阻止し、個体数が回復すると期待している。
当局は昨年、保護区内の約20頭のサイにこの同位体を注入。31日にそれを検出できるかテストした。
その結果、放射線検出器は同位体を注入したサイに反応したという。
ウィットウォーターズランド大学は声明で、「微量の同位体を注入した場合も、放射線検出器は見事に反応した」と述べた。
それによると、検査の結果、大型の輸送用コンテナにサイを入れた場合でも、放射線を検出できたという。
シロサイは国際自然保護連合(IUCN)の準絶滅危惧種に、クロサイは絶滅危惧種に指定されている。
その角はアジアの一部地域で漢方薬として利用され、取引価格は金やコカインに匹敵すると伝えられている。
南アの国立公園には世界のクロサイの3割が生息している。シロサイの個体数も世界一だ。
国際サイ財団(IRF)によると、20世紀初頭のサイの世界の生息数は約50万頭。24年時点の生息数は約2万8000頭となっている。南アの生息数は1万6000~1万8000頭と推定されている。
クロサイはアフリカ大陸にしか生息しておらず、個体数は6400頭。南アには約2000頭が生息している。