南スーダン軍将校と兵士、国連職員殺害の疑いで逮捕
亡くなった男性は国連南スーダン派遣団(UNMISS)に所属し、言語補助員として2011年から勤務していた。
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南スーダンで国連職員の死を巡り、同国軍の中尉と兵士2人が逮捕された。国連や地元当局が19日、明らかにした。
亡くなった男性は国連南スーダン派遣団(UNMISS)に所属し、言語補助員として2011年から勤務していた。同氏は12月15日、北部ワウ周辺の避難民キャンプへ向かう国連車両がパンクした後、5人の南スーダン兵に拘束された。その後、兵士たちが遺体の所在を明かしたため、捜査当局が捜索し、18日に住宅地で遺体を発見した。
逮捕されたのは中尉と2人の兵士で、警察によると、3人は殺害を自白し遺体の場所を示したという。
UNMISSは声明で「同僚を失ったことに深い悲しみを覚える」と述べ、国連職員の安全を保障すべきと強調した。またUNMISSは、殺害が命令によるものか組織的な犯行であるとの証拠は現時点では確認されていないと説明しつつ、正確な死因を明らかにするための調査が進められていると明らかにした。
事件発生後、UNMISSは軍司令官に対して男性の所在確認を求め、軍側は国連関係者をワウの軍拘置施設に案内したという。
軍はこの事件についてコメントを出していない。
男性は南スーダン国籍で、UNMISS設立時から勤務し、言語支援や現地コミュニティとの調整役として活動していた。国連の声明は、彼の長年の貢献に敬意を表するとともに、同国における国連職員の安全が深刻な懸念事項であるとしている。
南スーダンでは今年、国際援助関係者や国連職員に対する攻撃や誘拐の発生件数が増加しており、安全保障環境が悪化している。UNMISSによると、2025年中に25人の援助関係者が死亡または負傷し、現地での活動が一層危険なものとなっているとの報告もある。また、米国政府は政府機関による干渉を理由に支援削減の可能性を警告しているほか、予算削減を背景にUNMISS自身も一部の活動縮小を進めている。
南スーダンは2011年に独立して以降、内戦や部族間の衝突が繰り返され、国連平和維持活動の重要性が高い地域の一つとなっている。和平合意にもかかわらず、政治的不安定さや治安状況の悪化が続き、国際社会の支援と調整が求められている。今回の事件は南スーダンにおける国連職員の安全確保の必要性と、現地の治安環境の脆弱さを改めて浮き彫りにしている。
