◎南スーダンは独立から2年後の2013年、キール氏に忠実な組織がマシャール派に攻撃を仕掛け、内戦が勃発。18年の和平合意で終結した。
南スーダン、キール大統領(右)とマシャール副大統領(Getty-Images)

南スーダンの和平交渉が重要な局面を迎えている。

マシャール(Riek Machar)副大統領は先月、隣国ケニアで行われている和平交渉が2018年に成立した和平合意に基づいていないとして、深刻な懸念を表明していた。

ケニアは5月から政府と反体制派による和平交渉を仲介している。

反体制派のひとつである市民団体の代表は10日、AP通信の取材に対し、「キール(Salva Kiir)大統領が超法規的な国家安全保障法案に署名すれば、いかなる協定にも署名しない」と語った。

国会は先週、この法案を賛成多数で可決。キール氏はまだ署名していない。

これは今年12月に予定されている同国初の国政選挙に合わせて起草された。反体制派は法案の中に治安当局の権限強化が含まれていることに懸念を示している。

法案が成立すれば、政府は選挙を含む国家規模のイベントに合わせて治安当局の権限を強化できるようになる。

南スーダンは独立から2年後の2013年、キール氏に忠実な組織がマシャール派に攻撃を仕掛け、内戦が勃発。18年の和平合意で終結した。その犠牲者は30万~40万人と推定されている。

政府と反体制派による小競り合いは和平合意後も続き、数千人が死亡、数十万人が国外に逃亡した。

市民団体の代表はこの法案について、「市民の基本的人権と自由を侵害するものであり、このような法律の下では平和も民主主義もあり得ない」と批判した。

同じく和平交渉に参加する非営利団体もSNSに声明を投稿。「国家安全保障法は交渉を破壊するものであり、合意は到底望めそうにない」と書き込んだ。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチも「この法案は人権をさらに弱体化させ、権利侵害の歴史を持つ国家機関の権限を強化するもの」と批判。キール氏に署名しないよう求めている。

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