南スーダン政府軍が「国境なき医師団」の病院を空爆
空爆は3日夜に発生、病院は事前に避難を進めていたものの、倉庫や医療物資の大部分が破壊された。
の医療テント(Getty-Images/AFP通信).jpg)
アフリカ東部・南スーダンの東部ジョングレイ州で国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」の病院が政府軍による空爆を受けた。MSFが4日、明らかにした。この攻撃は過去1年でMSFの医療施設に対する10件目の空爆とされ、人道支援活動の継続に大きな打撃となっている。
空爆は3日夜に発生、病院は事前に避難を進めていたものの、倉庫や医療物資の大部分が破壊された。MSFによると、1人のスタッフが軽傷を負ったという。この病院は戦闘が激化する中で市民への医療提供拠点となっていたが、今回の攻撃で医療物資の供給が困難となり、地域住民の健康と命に深刻な影響を及ぼす恐れがある。
MSFは同団体が紛争当事者に対して施設のGPS座標を提供し、位置を周知していたにもかかわらず攻撃が行われたと指摘している。南スーダンで航空攻撃能力を持つのは政府軍のみであり、これが政府軍による空爆であるとの見方を示している。MSFは声明で、「医療施設やスタッフを攻撃対象とすることは許されない」と強く非難した。
3日午後にはジャングレイ州の郊外にある別のMSF医療センターが身元不明の武装勢力によって略奪される事件も発生した。その施設は治療機能を失い、これにより約25万人の住民が利用していた医療提供体制が崩壊した。MSFは現場スタッフと地域住民の安全確保に努めつつ、行方不明の同僚と連絡を取ろうとしていると説明している。
今回の攻撃は政府軍が「持続的平和作戦(Operation Enduring Peace)」と称する軍事作戦を展開する中で発生した。政府側は反乱軍を標的にしていると説明している。戦闘は反政府勢力が掌握する地域で激化し、多数の市民が避難を余儀なくされている。国連によると、昨年12月以降、約28万人が紛争地から逃れたという。
現地の医療状況は著しく悪化しており、MSFに限らず複数の人道支援団体がアクセス制限に直面していると報告されている。支援団体は南スーダン政府に対し、人道支援の自由な実施を求めているが、治療を必要とする子どもや妊産婦、高齢者ら脆弱な住民にとって必要な医療サービスが届かない懸念が高まっている。
MSFは南スーダンで40年以上にわたり医療活動を続けてきたが、近年の紛争激化に伴い支援活動が著しく困難になっている。今年に入ってからの攻撃頻度の増加や人道アクセスの制限は、同国全土の医療サービスの提供能力を大きく損なうものと懸念される。MSFは現場からの撤退も視野に入れ、スタッフと患者の安全を最優先にした対応を進めるとしている。
