南ア規制当局、国営電力会社の料金改定を許可、大幅値上げ
エスコムは南アの電力の大部分を供給し、長年にわたって深刻な財務危機に直面してきた。
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南アフリカのエネルギー規制当局である国家エネルギー規制庁(NERSA)は8日、国営電力会社エスコム(Eskom)に対し、これまで承認していた電気料金の引き上げ幅を上回る値上げを認める決定を下したと発表した。これは当局が過去に行った料金計算で誤りを認めたことを受けた再判断であり、国の電力供給体制と家庭・企業の負担のバランスを巡る議論が一段と高まっている。
NERSAによると、エスコムの電気料金は2026年4月から8.76%、2027年4月から8.83%それぞれ引き上げられる見込みで、当初承認されていた5.36%および6.19%から大幅に上振れる形となった。規制当局は今回の改定について、エスコムの財政的な持続可能性と利用者の支払い能力とのバランスを取るためだと説明している。
エスコムは南アの電力の大部分を供給し、長年にわたって深刻な財務危機に直面してきた。規制当局の以前の料金決定が十分な収益を確保できない要因の一つとなったとの認識から、今回の再評価が行われた。エスコムは近年、政府からの財政支援や石炭火力発電所の稼働改善により8年ぶりに通年で利益を計上したが、依然として安定した収益基盤の構築が課題となっている。
今回の料金引き上げは2025年1月にNERSAが設定した引き上げ幅の再計算が発端となった。同規制当局は過去の計算で、減価償却費や資産収益の反映に誤りがあったことを認め、この問題についてエスコムと合意に達していた。しかし、2025年12月に裁判所がその合意を破棄し、公聴会を経た新たな料金決定を行うよう命じた。これを受けてNERSAは改めて料金審査を実施し、より高い引き上げ率を認める判断に至った。
これに対し、消費者団体や野党などからは批判の声が上がっている。野党は料金の引き上げが家計や中小企業にとって重い負担となると指摘し、電力市場の構造改革や再生可能エネルギーの促進を通じた長期的な解決策を求めている。一方でエスコム側は、安定した電力供給を維持し、計画停電を防ぐためには十分な収益確保が不可欠だとしている。
南アでは長年、エスコムの財務不振と供給能力の不足が経済成長を妨げてきた。政府は再生可能エネルギーの導入拡大や送電網の近代化を進めているが、依然として石炭火力発電への依存が高い。今回の料金改定はこうした国内エネルギー政策の行方にも影響を与える可能性がある。専門家は料金引き上げだけではなく、供給インフラの改善や市場競争の促進を含めた包括的な改革が求められていると指摘している。
南ア政府とNERSAは、今後のエネルギー供給安定化と料金負担の公平性を両立させるための協議を継続する意向を示している。消費者保護団体や業界団体も交えた幅広い議論が予想され、電気料金のあり方を巡る議論は当面続く見込みだ。
