SHARE:

南アフリカ移民当局が米国の難民処理センターを摘発、7人逮捕

このセンターは米国へ渡航を希望する難民の申請手続きを行っており、申請者には白人系南ア人が多い。
2023年6月4日/南アフリカ、ダーバン近郊(Africanews/AP通信)

南アフリカ・ヨハネスブルグで内務省などの移民・治安当局が米国の難民処理センターを摘発し、ケニア国籍の男性7人を「不法就労」の疑いで逮捕した。南ア政府が17日、明らかにした。このセンターは米国へ渡航を希望する難民の申請手続きを行っており、申請者には白人系南ア人が多い。

内務省は声明で、ケニア人7人は観光ビザで入国しながら就労していた疑いがあると説明。逮捕・国外退去処分とし、今後5年間は再入国を禁止すると発表した。施設内では米国側の職員が同僚として働いていたが、今回の摘発で米国人職員の逮捕はなく、センターは在外公館ではなかったと強調した。

問題のセンターはトランプ政権が推進する難民再定住プログラムに関連しており、白人南ア人の申請を優先的に処理していた。

トランプ政権は2025年に難民受け入れ数を歴史的な低水準である7500人に設定し、その大部分を南アの白人系住民向けに充てる方針を示していた。この方針はトランプ(Donald Trump)大統領が南ア政府が白人アフリカーナーを迫害していると主張し続けていることに基づくものだが、南ア政府はその主張を否定している。

内務省は声明で、ケニア人が不法就労していた点に加え、外国人職員と不法就労者が協働していたことは南アの法令や外交プロトコルに重大な疑問を投げかけると指摘した。これを受けて外務省は米国及びケニア政府との間で正式な外交協議を開始したと明らかにした。

一方、米国務省の報道官はCNNなどのメディアに対し、南ア当局による難民業務への介入は「受け入れがたい」と述べ、南ア政府に対して直ちに事実関係の説明を求めると表明した。

この摘発は両国関係に新たな緊張をもたらす可能性がある。トランプ政権発足以降、両国の関係は急速に悪化しており、トランプ氏は南ア政府を頻繁に批判し、対外政策面でも対立が深まっている。特にトランプ氏はアフリカーナーの迫害を強調し続け、同国が反米的外交姿勢を取っているとして批判の矛先を向けてきた。

南ア政府は白人南ア人が難民として認められる条件を満たしていないと主張しているものの、申請自体を妨げるものではないと説明している。今回の摘発は南ア国内の法令順守と米国の難民政策の運用を巡る新たな摩擦点となっており、今後の外交的なやり取りが注目されている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします