◎ラマポーザ政権はロシアを直接批判せず、国連決議も棄権している。
南アフリカは25日、欧米諸国の制裁対象になっている露オリガルヒのスーパーヨットの停泊を認めると発表した。
このヨットを所有するロシアの富豪モルダショフ(Alexey Mordashov)氏は米国などの制裁下に置かれている。
2つのヘリポートとプールを備える「ノルド」の価値は5億2100万ドルと推定され、モルディブ、セーシェル、ウラジオストク、香港の港に停泊し、西側の制裁を回避してきた。
南アフリカの野党議員はこのヨットを押収するよう政府に要請していた。
しかし、ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領の報道官は、「西側の制裁に従う理由はない」と述べ、この訴えを退けた。
報道官は記者団に対し、「南アフリカは国連の制裁決議には従うが、欧米諸国が科して制裁に従う法的義務はない」と語った。
西側諸国はウクライナ侵攻を受け、1000以上の個人・団体・企業に制裁を科している。
一方、ラマポーザ政権はロシアを直接批判せず、国連決議も棄権している。
野党党首や議員はSNSに声明を投稿し、ヨットの停泊を禁じるよう政府に繰り返し求めている。
ある野党議員は「侵略国家のぜいたく品を受けいれるラマポーザは恥知らずであり、わが祖国とマンデラ(Nelson Mandela)元大統領の顔に唾を吐きかけた」と糾弾した。
報道によると、モルダショフ氏がヨットに乗っているかどうかは不明。
ブルームバーグは先週、モルダショフ氏の広報担当の話を引用し、「モルダショフ氏はヨットが香港に停泊した際、モスクワにいた」と報じている。
香港の李家超(ジョン・リー)行政長官も今月11日、香港は国連の決議を支持するが、米国を含む個々の国が科した「一方的な」制裁には応じないと述べ、ノルドの停泊を認めた。
モルダショフ氏はロシアで最も裕福な人物のひとりであり、鉄鋼と鉱業で築いた資産は291億ドルと推定されている。
モルダショフ氏は3月にイタリアで別のヨットを押収されている。
報道によると、ノルドはモルダショフ氏が所有するヨットの中で最大とみられる。フォーブス誌はこのヨットを「世界最大のぜいたく品のひとつ」と評している。