◎南アフリカのレイプ発生率は世界トップクラスである一方、検挙率は10%に満たない。
南アフリカの裁判所は10日、ヨハネスブルグ近郊で先週発生した集団レイプ事件に関与したとされる容疑者7人を強姦罪などで起訴した。
この集団レイプ事件では60人以上が逮捕されたと伝えられている。被害に遭った女性8人は19歳~35歳。廃坑近くでミュージックビデオを撮影した際に襲われた。
裁判所によると、7人は違法採掘施設で金を採掘していた労働者だという。身元は明らかにされていないが、不法移民とみられる。
警察はDNA鑑定を続けており、事件に関与した者のDNAが特定されれば、さらに多くが起訴されるとみられる。なお、この7人について、被害に遭った8人が写真で確認・特定した。
被害者のひとりはロイター通信の取材に対し、「レイプ被害に遭ったすべての女性のために正義を追求します」と語った。
ヨハネスブルグの裁判所前では先週から抗議デモが続いている。デモ隊は容疑者の保釈を認めないよう求めている。
この事件は全国で怒りを呼び起こし、法整備や警察にさらなる努力を求める声が上がった。
専門家によると、南アフリカのレイプ発生率は世界トップクラスである一方、検挙率は10%に満たないという。
事件現場の廃坑と不法移民が多く暮らすエリアには怒れる暴徒数千人が押し寄せ、事件に関与していない外国人労働者や移民の住居にも火を放った。
暴徒は違法採掘に関与したとみられる移民の住居を襲撃し、数十人を追い掛け回し、こん棒で叩き、服をはぎ取り、警察に突き出した。
レイプ被害者を支援する団体や活動家は事件を非難し、関与した者をひとり残らず捕らえ、法の裁きを受けさせるよう政府に求めている。
ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は今月初めに行ったテレビ演説で、「レイプ犯を裁く」と約束した。「連邦政府は女性の権利を著しく侵害するこのような恐ろしい残虐事件を徹底的に取り締まると約束します...」
政府報道官は10日、この事件を「民主主義の危機」と呼び、アパルトヘイト廃止以降に確立された女性の権利を完全に保障しなければならないと呼びかけた。
ラマポーザ氏は3年前にジェンダー関連の暴力が多発していることを受け、国家の危機を宣言した。活動家はレイプとジェンダー関連の暴力事件の取り締まりを強化するよう求めている。
今回の事件を受け、与党アフリカ民族会議(ANC)の政策会議では強姦犯に化学的去勢を適用すべきという意見が上がった。
南アフリカの憲法は世界で最も民主的な憲法と評価されている。