◎一部の地域では数か月分の雨が数時間で降った。
南アフリカ政府は13日、東部ダーバンで発生した大洪水の死者が250人を超えたと発表した。
当局によると、一部の地域では数か月分の雨が数時間で降ったという。
13日に現地を視察したラマポーザ大統領は「南アフリカ史上最悪の嵐」と記者団に語った。
アフリカ諸国の排水能力は脆弱で、大雨やハリケーンの都度、甚大な被害が発生する。
一部の地域では48時間雨量が450mmを超えたと報告されている。地元の予報官はAFP通信の取材に対し、「経験したことのない雨が降り、地域を破壊した」と述べた。
地元メディアによると、多くの地域で洪水と土砂崩れが発生し、犠牲者はさらに増える見込みだという。
被害の全容は明らかになっていないが、多くの専門家が南アフリカ史上最悪の自然災害になると予想している。
ダーバン(クワズール・ナタール州)と経済の中心地ハウテン州を結ぶ高速道路は一部が通行止めになっている。
ダーバンの市長は死者が増加したことについて、「洪水の規模は予想外だった」と説明した。地元メディアによると、低地の被害が特に深刻だという。
南アフリカの経済を支えているダーバン港近くの河川は氾濫し、港に通じる道の一部が通行止めになった。港は現在、操業を停止しており、高速道路の近くに置かれていた輸送用コンテナ倉庫も甚大な被害を受けた。
地元メディアは上空から数百個の輸送用コンテナが流される様子を伝えた。
ダーバンの北ではワニ園からクロコダイル12匹が流されたと騒ぎになっている。
クワズール・ナタール州政府は13日、フェイスブックに「大雨は計り知れない大混乱を引き起こした」と投稿した。地元メディアは専門家のコメントを引用し、「被害総額は数百億ランド(1ランド=約8.6円)に達する可能性がある」と報じた。
通信にも支障が出ており、大手ネットワーク2社によると、900以上の携帯電話基地がダウンしたという。
地方自治体は政府に自然災害の非常事態を宣言するよう求めている。州政府によると、洪水に見舞われた地域を災害地域に指定すると、州政府は国庫に緊急資金を申請できるようになる。
ダーバンの一部地域では略奪が発生したと伝えられている。州政府は略奪者を取り締まると警告しているが、略奪の規模は明らかにされていない。
また州政府は浸水した道路や橋を避け、低地の住民に高台に避難し安全を確保するよう繰り返し呼びかけている。
洪水で住宅を流された老人はAFP通信に、「こんなにまとまった雨を経験したのは生まれて初めて」と語った。