南アフリカがギャング対策強化、国内に軍隊展開へ
ラマポーザ氏は「組織犯罪は現在、わが国の民主主義に対する最も差し迫った脅威である」と述べ、ギャング暴力と違法採鉱の蔓延が経済的安定と公共の安全を損なっていると指摘した。
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南アフリカのラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は12日、一般教書演説で、深刻化する組織犯罪への対策として陸軍を治安部隊として国内に展開すると発表した。ラマポーザ氏は「組織犯罪は現在、わが国の民主主義に対する最も差し迫った脅威である」と述べ、ギャング暴力と違法採鉱の蔓延が経済的安定と公共の安全を損なっていると指摘した。
発表によると、国防軍は西ケープ州とハウテン州で警察を支援し、ギャング抗争や違法採鉱に対処する予定である。この2州にはケープタウンやヨハネスブルグといった大都市が含まれ、ギャング暴力や銃犯罪が特に深刻な地域として挙げられている。
ラマポーザ氏は演説の中で、西ケープ州におけるギャング抗争について、「子どもたちが交戦地帯のただ中で暮らしている」と述べ、ハウテン州では違法採鉱業者が地域住民を家から追い出している実態に言及した。また、2025年の殺人認知件数が1日平均63件に上り、銃が多くの犯罪で使われているという統計も紹介された。
違法採鉱者は現地で「ザマ・ザマ(zama zamas)」と呼ばれ、閉鎖された坑道や放棄された鉱山に入り込み、未採掘の鉱石を採掘する。政府によると、これらの活動はギャングや犯罪シンジケートと結びついており、2024年には約30億ドル相当の金を失ったとされる。
軍の展開に先立ち、ラマポーザ氏は国家警察と国防省に、軍と警察の配置計画を策定するよう指示した。計画には治安部隊の展開場所、時期、費用などが含まれ、数日以内に具体策が示される見込みだとしている。政府は最新の技術と情報に基づく統合的な法執行と情報活動を重視し、ギャング・犯罪シンジケートの解体を進める方針も明らかにした。
加えて、ラマポーザ氏は警察力の強化策として5500人の新規警察官の採用を表明し、これまでに発表されていた2万人の増員計画と合わせて治安部隊の人員を拡充する考えを示した。一方で、ギャング暴力や違法採鉱対策だけではなく、監査による汚職追及や拳銃規制の強化策も政府の重点項目として挙げられている。
この軍展開の決定は治安維持への政府の強硬姿勢を示すものであり、特に地方選挙が控える中で国民の安全確保への対応として注目されている。しかし、一部の批評家からは、軍の投入が根本的な社会経済問題の解決にはつながらないとの懸念や、治安部隊の過度な軍事化への懸念も指摘されている。
