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南アフリカ25年10月製造業生産高0.2%増、緩やかな回復基調

前年同月比の伸びは小幅ながら3カ月連続のプラス成長となっており、国内の製造業活動が依然として緩やかな回復基調にあることを示している。
南アフリカ、ヨハネスブルグ(Getty Images)

南アフリカの2025年10月の製造業生産高が前年同月比で0.2%増加した。統計局が11日、明らかにした。9月は前年同月比1.0%増(改定値)であった。

前年同月比の伸びは小幅ながら3カ月連続のプラス成長となっており、国内の製造業活動が依然として緩やかな回復基調にあることを示している。

製造業の月次ベースの動きでは、10月の工場生産は前月比で1.0%増加し、9月の改定値である前月比0.3%増から伸びが加速した。月別ではポジティブな伸びが確認されているものの、年ベースの動きでは成長が鈍化しており、製造業の勢いがやや弱まっているとの見方も出ている。

部門別では、食品・飲料や電気機械など複数の製造部門がプラス成長を記録した一方で、木材・紙製品、出版・印刷、ガラス・非金属鉱物製品など一部のカテゴリーが前年割れのマイナス成長となり全体の伸びを抑えた。こうした部門間のばらつきは、製造業の回復の弱さや構造的な課題を反映しているとの指摘もある。

南アフリカの製造業は国内外の需要環境や原材料価格の変動、電力供給などの制約要因に影響されやすい。今回の統計は緩やかながら成長の継続を示しているものの、経済全体に占める製造業の役割や成長力に対する懸念が依然として残る状況を示している。

同国の経済全体では、最近のビジネス信頼感指数が改善する一方で、実体経済の指標である製造業や農業などの基礎的な成長がやや弱いとの評価も出ている。例えば11月のビジネス信頼感指数は前月から上昇したものの、製造業など実際の生産活動の指標が低調であることが懸念材料として挙げられている。こうしたギャップは、経済成長の持続性に対する不透明感を高める可能性がある。

製造業の動向は金融市場にも影響を与える。近時の為替市場では、通貨ランドが米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を受けて変動する中、製造業や雇用、鉱業といった経済指標への注目が高まっている。データ発表当日もランドは主要通貨に対して動きを見せ、投資家が国内経済のファンダメンタルズを注視する形となった。

統計局は今後の製造業動向を判断する上で、11月・12月分のデータやその他の経済指標と合わせて総合的に分析する必要があるとしている。製造業は雇用や輸出にも直結する重要なセクターであるため、成長の持続性や構造改革の進捗が今後の経済政策運営における焦点となる見込みである。

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