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南アフリカ政府が犯罪多発地域に軍展開、警察を支援、懸念も


南アは世界的に見ても暴力犯罪率が高い国として知られる。
2026年3月11日/南アフリカ、ヨハネスブルグ市内、陸軍の兵士(AP通信)

南アフリカ政府は11日、組織犯罪や暴力犯罪の急増に対応するため、最大都市ヨハネスブルグの街頭に軍部隊を投入した。警察を支援して治安回復を図る措置で、同国の犯罪対策としては近年でも大規模な軍の国内展開の一つとなる。

部隊は11日、ヨハネスブルグ西部の複数の地区に展開した。装甲車両など10数台の軍用車両が住宅地を巡回し、兵士が集合住宅に入るなどして警察とともに犯罪組織の取り締まりに当たった。これらの地域ではギャング間抗争や銃撃事件が頻発しており、違法採掘を巡る犯罪も深刻な問題となっている。

今回の措置はラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が先月の議会演説で、組織犯罪対策のため軍の投入を検討すると表明した方針に基づくものだ。ラマポーザ氏は組織的な暴力犯罪や違法採掘が国家の権威や経済発展、さらには民主主義そのものを脅かす最大の脅威になっていると指摘していた。

政府によると、初期段階で約550人の兵士がハウテン州に投入され、ヨハネスブルグを中心に警察の指揮下で活動する。部隊は少なくとも4月末まで任務に当たる予定で、その後の状況によっては作戦が延長される可能性もある。全国規模では、9州のうち5州で軍の支援活動が計画され、一部の作戦は1年以上続く可能性があると警察当局は説明している。

展開の重点は地域ごとに異なり、ハウテン州やフリーステート州などでは違法採掘の取り締まりが中心となる。一方、西ケープ州や東ケープ州では長年問題となっているギャング暴力への対処が主な目的とされる。

南アは世界的に見ても暴力犯罪率が高い国として知られる。警察統計によると、2025年10月から12月までの3カ月間だけで6351件の殺人事件が報告され、1日平均で約70人が殺害されている計算になる。加えて、殺人未遂や武装強盗などの暴力犯罪も多発している。

犯罪多発地域の住民の中には、軍の投入を歓迎する声もある。夜間の銃撃やギャング活動が続く地区では、警察と軍の合同パトロールによって迅速な対応が期待できるとの見方が出ている。一方で、一部の野党や人権団体は、軍の投入は警察の治安維持能力の不足を示すものだとして政府を批判している。

南アでは過去にも社会不安や暴動の際に軍が国内治安維持に投入された例がある。政府は今回の措置について、犯罪組織の活動が国家の安全と社会秩序を脅かしている現状を踏まえた「やむを得ない対応」だとし、軍と警察が連携して治安の回復を目指すとしている。

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