西アフリカの農家が「ティックトック」活用、収益拡大も
国際機関によるデジタル農業プラットフォームへの投資が進む中、多くの農家は既存の人気アプリを創造的に活用し、農業の未来像を自ら描いている。
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西アフリカの農家の中で、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を使って自らの農産物を宣伝・販売したり、栽培方法や機械の使い方を共有したりする動きが広がっている。SNSを活用することで、これまで「貧しい仕事」というイメージが強かった農業の姿を変えようとする試みが進展しているという。
セネガルの農家パペ・フォール(Pape Fall)さんはTikTokの使い道について、サッカーやおもしろ動画を見るためだったという。しかしここ2年ほどで同アプリを農産物販売に活用するようになり、現在は収穫したキュウリの大半をTikTok経由で売るまでになった。フォールさんのプロフィールには、1.5トンのキュウリと連絡先を写したループ動画が掲載され、現地の音楽をバックに商品を紹介している。
フォールさんによると、モロッコの別の農家がTikTokで共有した「キュウリの下部茎は切らずに残すべき」という栽培アドバイスを見て実践したところ、生産量が向上したという。他にも世界各地の農家の動画を視聴し、技術や知識を取り入れているという。
この潮流は西アフリカ全体でも広がっており、特に動画を通じて地元言語で情報を発信・共有できるTikTokが農家に好まれている。対照的に東アフリカでは識字率の高さから文字中心の投稿が可能なFacebookが利用されることが多いという専門家の指摘もある。
農業関連のインフルエンサーとして活動するノガイェ・セネ(Nogaye Lo Sylla)さんは自身のTikTokやInstagram(インスタグラム)を通じて農業技術や機械の使い方、トウガラシ栽培など幅広い内容の動画を発信し、農業の近代化と収益性向上の両方に寄与している。セネさんは農地管理や投資を希望するセネガルのディアスポラ(海外在住者)向けのサービスも提供し、ソーシャルメディア経由の顧客が全体の約7割を占めるという。またセネさんは農業を若者にとって魅力ある職業にすることを目標に掲げ、昨年12月には農業とSNS活用の研修を女性50人対象に実施した。
ただし、課題もある。SNS上には偽の農業コンサルタントやインフルエンサーを装う詐欺的な投稿が散見され、多くの農家が被害を訴えているという。専門家は研究機関や政府の農業普及員との協力を通じ、正確な情報提供と詐欺防止策を強化する必要があると指摘する。
また、技術格差も大きな壁となっている。フランスの研究機関は西アフリカの農家の約8割がスマートフォンやインターネット接続を持たず、データ通信費も依然高額であると指摘する。こうした状況は情報技術の利活用を進める上での大きな障害になっており、政府や開発機関による支援が重要との声がある。
一方で、デジタル技術が中間業者を介さずに生産者と消費者を直接結びつける可能性は、農家にとって新たな収益機会となっている。国際機関によるデジタル農業プラットフォームへの投資が進む中、多くの農家は既存の人気アプリを創造的に活用し、農業の未来像を自ら描いている。
