◎係争地ラスアノドでは政府とプントランドを支持する反政府勢力の戦闘が続いている。
東アフリカのソマリランドの医療当局者は28日、係争地ラスアノド(Las-Anod)をめぐる暴力の中で病院が砲撃を受け、少なくとも1人が死亡、数人が負傷したと明らかにした。
ラスアノドでは政府とプントランドを支持する反政府勢力の戦闘が続いている。
ソマリランドは1991年にソマリアから独立。国連加盟国は同国の独立を承認していないが、台湾は2020年に外交関係を結び、米国を含む10カ国が首都ハルゲイサに駐在員事務所、ケニアとエチオピアは外交使節団の公館を設置している。
プントランドは1998年、当時のソマリア暫定政府の承認に基づき、自治を宣言した。
ラスアノド中心部にある病院の医師はAP通信の取材に対し、「砲弾4発が病院に着弾し、1人が死亡、少なくとも8人が負傷し、そのうち何人かは重体」と語った。この砲撃で病院が保有する救急車3台のうち2台が破壊された。
この病院では最近の戦闘で負傷した兵士や民間人も治療を受けていた。
国連によると、ラスアノドをめぐる紛争の影響で市民18万5000人以上が避難を余儀なくされ、そのうち数万人がエチオピアに逃亡したという。
ソマリランド政府は28日、軍が病院を砲撃したという噂を否定し、こうした報道は軍の評判を落とすフェイクニュースであると批判した。
また政府は病院への砲撃について、ソマリアに拠点を置くイスラム過激派組織アルシャバーブが関与していると指摘した。
国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」は26日、停戦を目指す努力は失敗に終わり、ラスアノド周辺で激しい戦闘が再開され、確認できているだけで35人が死亡、60人以上が負傷し、市内の病院に搬送されたと発表した。
MSFによると、MSFで活動する医療従事者1人も戦闘に巻き込まれ死亡したという。
国連は今月初め、民間人を巻き込む無差別攻撃を糾弾した。ソマリランドのアブディ(Muse Bihi Abdi)大統領は先週、米政府高官と会談し、この危機について協議している。